- 2011/01/13 掲載
【民主党藤末氏コラム】日本こそ海に眠るレアアースに目を向けるべき!(3/3)
日本周辺に存在する海底熱水鉱床
海底熱水鉱床は、我が国周辺海域では、島弧―海溝系に属する沖縄トラフ及び伊豆・小笠原海域において発見されている。特に、沖縄トラフの伊是名海穴及び伊豆・小笠原海域の明神海丘やベヨネース海丘において、地形調査、海底観察及びサンプリングによって広範囲(500m×500m以上)で鉱床の徴候を確認している。鉱床の探査は、(独)海洋研究開発機構、(独)産業技術総合研究所、(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構など政府機関によって行われている。今後もこのような複数の組織で行われている調査を統括して一元的に行う体制が必要となる。海底熱水鉱床は、分布水深が700m~1,600mと世界的にも浅く、中央海嶺に分布するものと比較し金、銀の品位も高いことから、技術的・経済的にも開発に有利であると期待されている。
なお、海底熱水鉱床は、かつて東北地方の黒鉱鉱床と地質的に類似しており、有用金属の分離・精製には、黒鉱処理の技術(浮遊選鉱・乾式製錬法)が応用できると言われているが、この技術は海底熱水鉱床に含まれるガリウム、セレン、テルル等の有用なレアメタルの抽出には向いておらず、新たな技術の開発が必要となろう。
コバルトリッチクラスト
海底熱水鉱床とともに注目を集めているのが、コバルトリッチクラストである。コバルトリッチクラストは、海山斜面から山頂部にかけて、海底の岩盤を皮殻状に覆うマンガン酸化物で、特に電池の電極等に用いられるコバルトの品位がマンガン団塊に比べ3倍程度高いことや白金等レアメタルが含まれる。
現在、国連海洋法条約に基づき、国際海底機構において探査規則が審議中であり、鉱区申請に必要な情報を取得するため、日本政府は2008年度から南鳥島周辺の排他的経済水域(EEZ)においても調査に着手している。
「新・海洋資源調査船」の建造
このような我が国の公海やEEZにおける資源を開発するために、まずは当該域内における有望海山における資源量把握調査を実施し、早期の鉱区取得を行う必要がある。日本政府は、「第2白嶺丸」で深海資源探査を行ってきた。第2白嶺丸は1980年に完成し、マンガンノジュール、コバルトリッチクラスト、海底熱水鉱床等の深海底鉱物資源の探査を行ってきた。しかしながら建造されて30年が経過し、また、船の大きさも総トン数2127 t,全長 88.8 m,全幅13.8 mと調査任務の拡大に十分に対応できる規模ではない。
そのため、「新調査船」の製造が進んでいる。
・大きさ: 全長118m、 幅19m
・航海速力: 15.5ノット
・定員数: 70人
新調査船は、平成211年度補正予算:200億円、平成22年度予算:75億円で作られている。
H22年7月8日 起工式(製作開始)
H23年3月23日 進水式@山口県下関
H24年1月末 完成引渡
H24年2月~ 実海域調査
本船により、海底熱水鉱床やコバルトリッチクラスト開発等の更なる加速が可能となる。
これからの本船の活躍と我が国の海洋資源が今後に我が国の資源安全保障に資することを期待したい。
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