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- 2010/09/21 掲載
【連載】ザ・コンサルティングノウハウ(18):セマンティック・コミュニケーション
新しいコンサルティングノウハウを生み出す
セマンティック・コミュニケーション
次の日、山口はコンサルティングノウハウ検討会に、リサーチャーの上田を連れて行った。「新しいコンサルティングノウハウを見つけたぞ。セマンティック・コミュニケーションと名づけた。聞いてくれ」
山口は、会議室に入るなり、興奮気味に言った。
「当社のコンサルタントが昼食時にやっている、ノウハウの交換・拡充だがね、作法は先輩から後輩に受け継がれている。作法1は、大げさに感心して聞く。これによって、話し手は、相手が大げさに感心していることを知りながらも、聞き手をもっと感心させようと、知っている限りのノウハウを出す。作法2は、なごやかで楽しい雰囲気を崩さないことだ。これは、創造を活発化するために重要だ。そして作法3は、論理的な矛盾は徹底的に問いただすこと。そして作法4は、ピンときた事実から話しはじめること。コンサルタントがピンと来た事実は、いろいろな意味解釈の可能性がある。そのような事実に触発されて、新たなノウハウを思い出したり、その場で作り上げたりできるからだ」
3人は、うなずいた。
「僕は今まで、このコンサルティングノウハウ検討会も、同じ作法で進めていると思っていた。しかし、僕らのコンサルティングノウハウ検討会では、僕達は無意識のうちに、さらにいくつかルールを付加している」
「それは、なんだい」
三好が聞いた。
「1つ目は、ATACサイクルを使って、検討会に来る前に、新しいノウハウを創造・準備しているという点だ。この検討会に出る以上、参加者は、新たなコンサルティングノウハウを出席者に示さなければならない。そこで、日々のAh(ピンときたこと、事実)を基に、Thought(立ち止まってノウハウの仮説を作ること)を続けている。また、ノウハウの仮説をAction(実行)して結果を反芻し、Conceptualization(ノウハウを完成)している。おかげで僕たちは、この会社の中でもかなり多くのコンサルティングノウハウを生み出していると思う。また、ATACを共有していることで、『僕のAhは……だ』という会話ができる。言わば、共通のコミュニケーション・プロトコルがある。だから、会話をノウハウの共有・拡充に集中させられ、この会議の生産性は高くなっている。皆、1つAhが出ると、これを触発材料にしてコンサルティングノウハウを発見、創造、確認することが重要だということを認識しているから、必死で考えるだろう。これをプロセスで表すと、このようになる」
山口は、ホワイトボードに以下のように書いた。
※ATACサイクルについては、連載第14回をご参照ください。
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