- 2025/03/10 掲載
GitHub Copilot対抗グーグル「Jules」とは? AIコーディングアシスタントの勢力図(2/2)
Julesの競合、注目はVS Codeベースの「Cursor」
コーディングアシスタントの競争は、週単位で新機能のアップデートが繰り返される激戦区となっている。その中で、OpenAIが支援するCursor(カーソル)が際立つ躍進を見せる。2024年12月時点で同社の評価額は26億ドルに到達。わずか4カ月前のシリーズAラウンドでは4億ドルの評価額だった。およそ6.5倍の上昇となる。成長性の高さは、収益面に見て取ることができる。2024年4月時点で年間経常収益400万ドルだったCursorの収益は、10月には月間400万ドル(年間4800万ドル相当)にまで急成長。OpenAI、Midjourney、Perplexity、Replicate、Shopify、Instacart.など、著名企業での導入も進んでいる。
Cursorは、2週間の無料トライアル後、プロプランで月額20ドル、ビジネスプランで月額40ドルの料金体系を採用。ビジネスプランは、大規模チームや組織向けに設計されている。
2024年11月24日にリリースされたバージョン0.43では、自律型エージェントを導入。文脈を自動的に理解し、ターミナルを使用して、1回のプロンプトだけでタスクを完了できる機能を実装した。同アップデートでは、バグ検出機能のプレビューや、よりクリーンなコンポーザーUI、チャットでのコンテキストセマンティック検索など、複数の機能改善も含まれている。
2024年12月17日にリリースされたバージョン0.44では、エージェントがターミナルの終了コードを確認し、バックグラウンドでコマンドを実行できる機能を追加。新たに導入された「YOLOモード」により、エージェントによるターミナルコマンドの自動実行が可能となった。さらに、リンターのエラーを読み取って自動的に問題を修正する機能や、複数の場所を並行して編集する機能など、エージェントの能力を大幅に強化している。
2025年2月23日にリリースされた最新バージョン0.46では、ChatとComposerのチャットセッションの統合、Project Rulesの読み込み可視化、Global指定、Web検索の公式対応、ターミナルの参照機能の追加などが加わり、より洗練された印象を受ける。
さらに、Cursorは最近AIコーディングアシスタントのSupermavenを買収。これにより、より高速でコンテキストを意識した長いコードシーケンスの処理が可能になるという。
Cursorに並ぶ人気、CodeiumがWindsurfで市場攻勢
コーディングアシスタントの競争は、グーグルのJulesの発表で新たな局面を迎えたが、Codeiumも独自の進化を遂げ、存在感を高めている。同社は2024年12月、アンソロピックのClaudeを統合した新しいVS Codeベースの統合開発環境(IDE)「Windsurf」を発表。CascadeというAIエージェントと組み合わせることで、コードの作成と複雑なコードベースの管理を効率化する体制を整えた。
Windsurfの反響は大きく、リリースからわずか2日で1万人以上のユーザーが登録。2週間後には数十万人規模にまで拡大したとされる。開発者がWindsurfをフルタイムで使用するようになるなど、高いユーザー維持率を記録、開発者コミュニティにおける評価はかなり高い。
Codeiumの代表者アンシュル・ラマチャンドラン氏によると、開発者がコーディングを行う際、ClaudeはCascadeの推論と計画の一部を支援。セッション内で発生したすべての出来事を分析し、文脈を維持しながら最適な次のステップを提案するという。
現在、Codeiumは80万人以上のアクティブユーザーと1000社以上の企業顧客を抱える。同社のプラットフォームを使用する企業では、新規に作成されるコードの約半分がAIツールによって生成されている。Codeiumは、コードベースの理解力向上により、開発者のAI提案の受け入れ率が38%改善したと述べている。
Windsurfの中核を成すCascadeは、Claudeの大規模なコンテキストウィンドウ(最大20万トークン)を活用して開発セッションを分析。またClaudeのマルチモーダル機能も統合されており、画像入力などの機能も備えている。
さらに最近のアップデート「Wave 1」では、Cascadeの機能をさらに強化。「Cascade Memories」の導入やカスタム動作ルールの設定を可能にし、ターミナルコマンドの自動化も実現している。この進化により、Codeiumは2024年8月、シリーズCラウンドで1億5000万ドルを調達。評価額は12億5000万ドルに達し、ユニコーン企業の仲間入りを果たした。
CISQによると、コード品質の低さによる年間損失は、米国だけで2兆8400億ドルに上る。コーディングアシスタント、そして基盤モデルそのものの進化により、ソフトウェア開発がどのように変わっていくのかが気になるところだ。
関連コンテンツ
関連コンテンツ
PR
PR
PR