• 2025/03/08 掲載

組織にとって「驚愕の事実」を発見…信頼を高めるための「7つの行動」とは何か(3/3)

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驚愕の事実…「助けを求めない部下は信用できない」

■ 非難しないことについて
 この要素は難しい。人は概して非難をしたがるものだ。興味深いのは、研究でこの事実が「定量化」できるという点だ。

 私たちが「いつ、誰を非難するか」を予測する変数がふたつある。たいてい自分が最も恥をかきやすい分野で、自分よりも成績が悪い人物を選ぶのだ。
「ほら、あの人。私も散々だけど、あの人なんてもっとひどい」
 これは、子育てが批判の地雷原になる理由でもある。子育てには、常に失敗がつきまとう。だから「自分よりもひどい失敗」をしている人を見つけると、たとえそれが束の間であっても安心するのだ。

 職場で私たちが恐れているのは、知識や理解の欠如を非難されることだろう。

 私たちは「助けを求める」ことが苦手だ。しかし面白いことに、1000人のリーダーたちに、いいことをしたら瓶の中にビー玉を貯めていく行動──チームメンバーがリーダーの信頼を勝ち取るためにおこなっている行動──を列挙するよう依頼したところ、いちばん多かった答えは「助けを求める」ことだった。

 習慣的に助けを求めない人びとについて、調査に協力してくれたリーダーたちはこう説明している。「手をあげて助けを求めない部下は信用できないので、重要な仕事は任せられない」と。驚愕の事実だ。

 助けを求めることを拒否すると、いつしか同じような仕事ばかりが、これなら心配ないとリーダーから思われている仕事ばかりが割り振られていることに気づくだろう。新たな仕事が手に余ったときに、助けを求めてこないと思われているせいで、自分の能力やスキルセットを伸ばすような仕事が与えられないのだ。

 私のチームでも同様の光景をよく見かける。私がチームで最も信頼しているメンバーにプロジェクトを引き継ぐのは、行き詰まったり、不明な点があったり、自分の手に余ったり、納得いかなかったりすれば、私に「報告」があるからで──それがわかっているからこそ、安心して任せることができるのだ。

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 また、これにより物事が間違った方向へ暴走するのを食い止められるだけでなく、サポートの必要性を認識しているメンバーは、私に立ち入って手を貸す隙も与えてくれる。これは知性や能力や生まれもった才能とは関係ない。「信頼関係」の問題である。

 必要なものを求めたり、求められたりするような、公平な空間で仕事をしていれば、非難される心配をせずにたがいの気持ちを話すことができるだろう。

 独善的な非難をしたくなると、私はすぐにこう自問する。「その不安はどこから来ているの、ブレネー?」

 「助けを求めること」は、力の行使である。他人が手をあげたら、それは質問できる強さのしるしであり、批判をかわす強さのしるしだ。そこには、勇気ある信頼に必要不可欠な要素、自己認識が反映されている。

寛大な自分でいるために必要な「境界線」とは?

■ 寛大さの事例
 寛大さには「境界線」が必要だ。

 他人の意図、言葉、行動に対する自分の前提に誠実で寛大でいるためには、どんな境界線が必要だろう?

 具体的な事例として、米シーダーラピッズ図書館長のダーラ・シュミットの話を紹介したい。ダーラはこう書いている。
 「Daring Leadershipプログラム」に参加したことで、チームとの働き方が変わりました。私は相手の話をよく聞くようになり、いつもは避けてきた事柄に勇気をもって対処できるツールを手に入れました。「簡単なこと」より「正しいこと」を選ぶ、というのが私の信条になりました。

 すべての行動は、自己認識と個人の責任に返ってきます。私は、自分が何者で、何をすべきかを知ることで──たとえば従来のやり方に対する非生産的なパターンを直視することで、「正しい行動」を起こす勇気を手に入れました。

 結局のところ、個人の責任を受け入れたことで、変わる勇気が生まれたのです。

 リーダーとしての私のいちばんの問題は、ときとして「周りに翻弄されてしまうこと」でした。

 以前は、まるでみんなから意図的に無視されているような気がしていました。しかし、実際は無視されているのではなく、聞こえていないだけだと思い直し、みんなに聞こえるように大きな声で話すようになりました。ポジティブな意図を想定することの意味や、境界線を定めることの意味を学んだときに、すべては変わったのです。

 何かを否定的にとらえたときは、それは相手のせいではなく自分のせいだと考えるようになりました。私が否定的に解釈していた時期をふり返ると、私もこの組織も、適切な境界線やガイドラインを提供できていませんでした。「おかしくなりそう」とか「イライラする」と感じるのは、自分自身の行動に対する重大な危険信号なのだと気づくようになりました。

 だから今は、後ろ向きな考えが忍び寄ってきたら、そこでストップします。深呼吸をして、もう一度よく考え、誠実さを保ちます。感情的に反応するのではなく、準備が整ったときに、まず自分に問題があるのではないかと自問します。

 やってほしいことを明確に示し、境界線を設ければ、みんなすばらしい仕事をしてくれます。人びとを成功へと導く役割を担う際、相手の意図を前向きにとらえるのは難しいことではありません。

 意識を変えたおかげで私は優秀なリーダーに、いい人間になれました。
※本記事は『dare to lead リーダーに必要な勇気を磨く』を再構成したものです。

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