- 2024/09/21 掲載
グーグルやMSら警鐘、生成AIでITエンジニアは不要になる?「90%以上影響」の詳細(2/2)
テスト/品質保証分野でもAIによる自動化が顕著に
テスト/品質保証(QA)分野は特にエントリーレベルで大きな影響が予想されている。レポートは、同分野では、SeleniumやAppiumなどのAI駆動の自動化ツールが、高度なアルゴリズムを通じて欠陥検出の精度と速度を向上させていると指摘。これにより、テストの効率性が大幅に改善され、ソフトウェア製品の市場投入までの時間が短縮されているという。
テスト/QAの職種では、エントリーレベルを中心に、AIによる中程度から高度な変革が予想される。特に、ソフトウェアテストとデバッグ、テクニカルライター、品質保証アナリストなどの職種で大きな影響が見込まれている。
レポートは、「AI駆動のテストアルゴリズムは、機械学習を活用して複雑なパターン、異常、相関関係を検出することで、ソフトウェアテストを革新している」と報告。これにより、予測分析による欠陥予測、適応型テスト戦略、多様なテストシナリオの自動化が可能になるとしている。
これらの職種では、AI支援コード生成、AIアルゴリズム、AIリテラシー、AI倫理と責任あるAI、AIモデル開発、自動テスト、対話型AI、大規模言語モデルアーキテクチャ、プロンプトエンジニアリングなどの新しいスキルの習得が求められるという。また、AIベースのコードレビュー、AIベースの監査、AIベースの規制遵守、プロジェクト管理、ソフトウェアテスト自動化などのスキルの重要性が増すとのこと。
サイバーセキュリティ分野への影響
サイバーセキュリティも生成AIの影響を大きく受ける職種グループの1つだ。同レポートによると、サイバーセキュリティ責任者(CISO)の70%がAIは攻撃者に有利に働くと考えている一方で、35%がすでにサイバー防衛にAIを実験的に導入しており、61%が今後12カ月以内にAIを活用する可能性があるという。
さらに、CISOの86%が生成AIはセキュリティチームのスキルギャップや人材不足の解消に役立つと考えていることも明らかにした。
AIの導入により、ログ分析や基本的な脅威検知といった日常的なタスクが自動化され、エントリーレベルのタスクにかける時間は減少する公算だ。たとえば、レポート生成、マルウェア分析、脆弱性の発見、改善策の提案などのタスクは、AIによって自動化することができる。
サイバーセキュリティの職種では、エントリーレベルから中級レベルまで、中程度から高度な変革が予想されている。エントリーレベルでは、サイバーセキュリティアナリスト、情報セキュリティスペシャリスト、SOCアナリストレベル1などの職種で、多くのタスクがAIによって補完される可能性があるが、人間の専門知識も依然として必要とされる。中級レベルでは、エシカルハッカーなどの職種で、AIが人間の戦略的スキルを補完すると予想されている。
これらの職種では、AI倫理と責任あるAI、AIリテラシーなどの新しいスキルの習得が求められる。特に中級レベルでは、大規模言語モデルアーキテクチャ、プロンプトエンジニアリング、検索拡張生成(RAG)などの高度なAIスキルも重要性を増している。
また、クリティカルシンキングと問題解決、情報保証、リスク管理、リスク軽減、セキュリティポリシー、セキュリティ要件分析、脆弱性スキャンなどのスキルは、さらに重要性が増すと見られている。
一方で、情報検索、継続的モニタリング、文書作成といった従来のスキルは重要性が低下する見込みだ。
レポートは、生成AIがサイバーセキュリティの職種に大きな変革をもたらす一方で、戦略的思考、問題解決、コミュニケーション、協力といった人間の重要な要素を完全に置き換えることはできないと強調。反復的なタスクをAIで自動化しつつ、サイバーセキュリティ担当者は、より複雑で付加価値の高い案件に対処する必要があるとしている。
データサイエンス、デザイン/UX分野への影響
データサイエンスとデザイン/UX分野でもAIの影響が顕著に表れており、スキルのアップデートが重要視されている。データサイエンス分野では、自然言語処理、大規模言語モデル、生成AI、自動データ処理などのAI技術の活用が進み、高度モデルを用いたデータ分析の生産性が大幅に高まっている。一方、結果の解釈、出力の検証、戦略的決定には依然として人間の専門知識が必要だ。
データサイエンスの職種では、エントリーレベルから中級レベルまで、AIによる中程度の変革が予想される。エントリーレベルではデータアナリストやデータスペシャリスト、中級レベルではデータエンジニアやデータサイエンティストなどの職種がその対象となる。
これらの職種では、AI倫理と責任あるAI、AIリテラシー、高度な機械学習技術、AIモデルの解釈可能性、LLMアーキテクチャ、プロンプトエンジニアリングなどの新しいスキルの重要性が高まっている。一方で、データクリーニング、データ入力、データ前処理といった従来のスキルは重要性が低下する見込みだ。
デザイン/UX分野では、ワークフローの効率化、パーソナライゼーションの自動化などがAIによって実現しており、日常的なタスクの多くがAIの影響を受けている。しかし、デザインは特に、人間の感性が不可欠な領域であり、共感力など人間固有の強みが依然として求められる。
デザインとUXの職種では、エントリーレベルから中級レベルまで、AIによる中程度から高度な変革が予想されている。エントリーレベルではデザインエンジニアやUXデザイナー、中級レベルではプロダクトデザインエンジニアなどの職種で、生成AIデザインツールと反復タスクの自動化により大きな変革が見込まれる。
これらの職種では、AI倫理と責任あるAI、AIリテラシー、機械学習、プロンプトエンジニアリング、独自のAIデザインツールアプリケーションなどの新しいスキルの習得が求められている。一方で、基本的なコーディングスキル、マニュアルコンテンツ作成、リサーチといった従来のスキルは重要性が低下すると予測される。
冒頭で触れたように、生成AIは新しい技術であり、現在その性能は発展途上だが、クローズドソースモデルの性能改善に加え、小型モデル/オープンソースモデルの躍進もあり、合成データ生成などにより、AIモデル開発はさらに加速する段階にある。その影響は、IT職種に限定されず、ヘルスケア、金融、法律など、さまざまな分野に広がると予想される。企業、教育機関、政府、個人における意識変革が差し迫っているといえるだろう。
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