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- 2024/09/21 掲載
グーグルやMSら警鐘、生成AIでITエンジニアは不要になる?「90%以上影響」の詳細
AI団体が警鐘、IT関連職の90%以上が影響
生成AIの登場で、多くの企業でAI活用が増えたのは明らかだ。現在では小型言語モデル(SLM)の躍進、オープンソースLLMの飛躍的な性能向上などにより、AI開発はさらに加速、ユースケースも爆発的に増える見込みとなっている。この状況下、IT関連職におけるスキル需要が大きく変化しており、リスキリングの必要性が高まっている。グーグル、マイクロソフト、IBM、シスコなどからなるAIコンソーシアムが2024年7月に発表した最新レポートでは、生成AIがもたらすIT関連職への影響が分析され、各職種におけるスキル動向が明らかにされた。注目すべきは、IT関連職の90%以上が、AIによって大きく、あるいは中程度に変革される可能性があるという点だ。
レポートは、7つの「職種グループ」にわたる47の具体的なIT職種を分析。特に、ビジネス/管理、テスト/品質保証、サイバーセキュリティ、データサイエンス、デザイン/ユーザーエクスペリエンス(UX)の分野で大きな変革が予想されている。たとえば、ビジネスと管理分野では、62.5%の職種が「高度な変革」、37.5%が「中程度の変革」にさらされると分類された。
レポートによると、エントリーレベルとミッドレベルの職種が最も大きな影響を受ける可能性があり、エントリーレベルの37%、ミッドレベルの40%が「高度な変革」に分類されている。これは、AIツールが新人社員の能力向上を加速させる可能性を示唆するもの。
コンソーシアムは、AIの影響に対応するため、企業、教育機関、労働者それぞれが取るべき行動を提言している。企業にはAIトレーニングへの投資を、教育機関にはカリキュラムの更新を、労働者には生涯学習の重要性を強調。また、今後重要性が増す10のスキルとして、AI倫理、プロンプトエンジニアリング、大規模言語モデル(LLM)アーキテクチャなどを挙げている。一方で、基本的なプログラミング、マニュアルコンテンツ作成、基本的なデータ管理などのスキルは重要性が低下すると予測している。
以下では、特に大きな変革が予測される各職種グループについて、その詳細を見ていきたい。
ビジネスアナリストなどへの影響
生成AIの影響を最も強く受ける職種の1つは、ビジネス/管理の職種グループだ。この職種グループでは、62.5%の職種が「高度な変革」、37.5%が「中程度の変革」に分類された。特にエントリーレベルの職種で大きな変革が予想されている。同職種グループの中でも、特にビジネスアナリスト、ビジネスインテリジェンスアナリスト、ビジネスシステムアナリスト、カスタマーサービス担当者といったエントリーレベルの職種で、AIによる高度な変革が見込まれている。AIは製品戦略の立案、予測分析の提供、プロセスの自動化、レポートの作成、大規模プロジェクトの管理、顧客満足度の向上などで活用される可能性が高いからだ。実際、そのようなAIツールも多数登場しており、利用するケースも増えている。
これらの職種では、AIに関連する新しいスキルの習得が求められる。重要度の高いスキルとして挙げられるのは、AI倫理と責任あるAI、AIリテラシー、データサイエンス、データ可視化、説明可能なAI、自然言語処理(NLP)の概念、機械学習リテラシー、プロンプトエンジニアリングなど。
エントリーレベルにおいては、基本的なレポート作成、ドキュメンテーションの維持管理、KPIモニタリングといった従来のスキルは重要性が低下する。一方、このレベルでは、データ駆動型の意思決定、データ管理、アウトプット指標、成功KPI、統計モデルなどのスキルは、さらに重要性が増す見込みだ。
ミッドレベルの職種では、デジタルマーケティングスペシャリスト、プロダクトマネージャー、プロジェクトマネージャーなどが中程度から高度な変革を経験すると予想される。これらの職種でも、AI倫理、AIリテラシー、機械学習リテラシー、プロンプトエンジニアリングなどの新しいスキルが求められる。
シニアレベルでは、シニアプロダクトマネージャーなどの職種で中程度の変革が予想されるが、依然として人間の専門知識が必要とされるため、その影響は限定的と見られている。
レポートは、AIがビジネス/管理分野に大きな変革をもたらす一方で、人間の判断と専門知識の重要性は依然高いと強調。AIの導入により、反復的なタスクの自動化は可能だが、最終的な経営判断は人間の専門知識と判断力に委ねられるべきだとしている。 【次ページ】テスト/品質保証分野でもAIによる自動化が顕著に
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