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1899年の創業以来、洋酒市場の創造を皮切りに国産ウイスキー造りやプレミアムビールの製造など、「やってみなはれ」の精神の下、時代ごとに新たな価値創造に挑んできたサントリー。そんな同社が現在、取り組んでいる価値づくりの1つが「健康経営サービス」であり、20年から提供を開始したサービスが「サントリー+(プラス)」だ。サントリー食品インターナショナル イノベーション開発事業部 課長代理を務める赤間 康弘氏がサントリー+の誕生の背景とその具体的な中身、目指すべき健康経営の“在り方”について解説した。
本記事は2024年5月8日-10日に開催された「カイシャのミライ カレッジ 2024 Tokyo Spring」の講演内容をもとに再構成したものです
増加し続ける企業の医療費負担の救世主「サントリー+」
日本企業の健康保険組合が存続の危機に立っている。その赤字額は22年度で2,805億円、23年度で3,600億円と拡大し続けている。
「従業員の高齢化に伴い、企業の医療費負担が増加し続けています。その中での医療費抑制、さらに健康状態の持続を通じた従業員の生産性の維持/向上に向け、健康経営は経営課題といっても過言ではありません」(赤間氏)
「健康」にまつわる取り組みはサントリーにとって、決して目新しくはない。特定保健用食品の「黒烏龍茶」を発表した06年にまでさかのぼり、以来、脂肪や血圧、糖質、血糖値など、生活習慣病にまつわる特定保健用食品や機能性表示食品の製品ラインアップを拡充させてきた。
その中での新たな挑戦として、20年に提供を開始した同社の健康経営支援サービスが、上記の健康飲料や自動販売機、従業員向けスマホアプリ、管理システムなどを組み合わせた「サントリー+」なのである。
健康行動を習慣化させるための「サントリー習慣化メソッド」
サントリー+の立ち上げを担った赤間氏。ちなみに、赤松氏の前職は任天堂のゲームプランナー/ディレクターだ。あのスプラトゥーンやスーパーマリオブラザースUなどのヒット作を手掛けてきたという。
サービス内容について赤間氏は、「手軽に費用をかけずに健康行動を促進するサービスです」と解説する。その概要を説明すると、まずは従業員向けのスマホアプリが日々、従業員に健康行動を促す。実践時には専用自動販売機で利用できるポイントを従業員に付与し、同社の胡麻麦茶などの飲料を受け取れるようにしたものだ。社員の日々の健康行動にまつわる情報は管理サービスの「サントリー+Navi」から確認できる。
もっとも、社員に健康行動を持続させるのは思いの外難しい。なまけ心や時間の乏しさ、その時々の体調など挫折の原因はいくつもある。B2B向けのスマホ用「健康アプリ」はいくつも登場しているが、それらの1カ月後の利用率は15%を下回るとの調査結果もある。
その中でのサントリー+の1番の特徴として赤間氏が挙げたのが、健康行動を習慣化させるための「サントリー習慣化メソッド」だ。
メソッドは3つの柱から成る。まずは「簡単」なことだ。
「ハードな健康行動は続けにくいものです」と赤間氏。対してサントリー+の健康行動は、「朝食に牛乳を一杯のむ」「積極的に階段を使う」など、ハードルが極めて低いものばかりだ。にもかかわらず、いずれも科学的根拠に裏打ちされ、アプリには体脂肪や血圧、コレステロール、血糖など生活習慣病の4項目に対応した健康行動が約60個用意されている。
「1歩進めばもう1歩進もうとの気持ちが自然と生まれるものです」(赤間氏)
次ページでは、残り2つの柱について解説する。
【次ページ】継続利用率は1カ月後で89%、身近な○○が健康行動のリマインダー
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