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- 2023/10/24 掲載
ブリヂストンの「攻めまくる」知財戦略、スタッドレスの革新生んだ知財ミックスの神髄
今、企業に求められる「知財経営」とは何か
ブリヂストンの2022年12月期の連結決算が、売上高4兆1,100億円(前年比+26.6%)、経常利益4,234億円(前年比+12.2%)と好調だ。創立以来、積極的な知財投資・活用戦略を行い、事業の競争力強化・持続的成長につなげてきた。同社の成長を支えてきた知財経営だが、具体的に何を指すのか。ブリヂストンの知財部門の部門長を務める荒木 充氏は、「知財経営には3つのステージがあります」と語る。
第1ステージが知財を可視化し、リスクを見つけること。第2ステージは、チャンスに目を向け、事業価値に変換すること。第3ステージは、こうした考えが知財部門だけではなく、全社内に浸透すること。第3ステージに到達したときに、知財経営が成立するという。
知財経営に欠かせないことは、知財投資で事業に貢献するレバレッジ効果(少額の投資資金で大きなリターン)を上げることだ。そのため、知財部門が会社の触媒機能となり、無形資産投資先の確からしさを高められる組織作りに貢献することが重要になる。
具体的には、経営・事業部とのベクトル合わせ、会社への知財活用マインド浸透、組織の健全な緊張感を作り上げることなどが挙げられる。
知財を使って事業価値を上げていくための原理原則
ここで、知財戦略を立てるための原理原則について紹介しよう。用いるのは、経営デザインシートである。これにより、AsIs(現状)とToBe(目指すべき姿)のギャップを埋める戦略を立てる。こうした実態がまったく見えていないと戦略は机上の空論として終わってしまう。そうならないためには、AsIsが本当に見えていたかどうかを検証する必要がある。無形資産はそもそも見えにくいし、バリューチェーン全体を見ないと、AsIsが妥当とは言えない。また、無形資産が価値に代わるメカニズムを理解できているのかを考えることも重要だ。
「AsIsが心もとないままだと、ToBeを地に足ついて言うことができません。お客さまのことを見てわかっているのか、自社の強みを生かせているか、競合/業界に比べて自社はどうか、勝てるのかについて、考える必要があります」(荒木氏) 【次ページ】「ブリザック」の開発、知財ミックスの革新的成功事例
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