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- 2024/03/22 掲載
不正競争防止法改正をわかりやすく解説、メタバースはどう変わる?押さえるべき3分野
なぜ不正競争防止法は改正されるのか
不正競争防止法等の一部を改正する法律(知財一括法)が2024年4月1日に施行される。改正対象となるのは、不正競争防止法、商標法、意匠法、特許法、実用新案法、工業所有権特例法の、6つの法律だ。今回の法改正に至った背景には、知財分野におけるデジタル化や国際化などの環境変化がある。
たとえば従来の制度では、デジタル空間での行為については、不正競争防止法が禁じている「形態模倣商品の提供行為にかかる不正競争」に該当しなかった。デジタル空間での商取引が日常化する中で、これまで、商品のアイデアなど知的財産を守る仕組みの整備が追いついていなかったのだ。
そこで国は、中小企業などが、知財活用による新規事業展開をしやすくなるよう、時代に合わせて制度を見直すために法改正に踏み切った。国の専門家会合(産業構造審議会の知的財産分科会不正競争防止小委員会)で議論が重ねられ、2023年3月に提出された報告書を踏まえ、今春の法改正に至る。現政権が主要施策の1つとして掲げるスタートアップ支援の一環として位置づけられる。
メタバース上でも…「形態模倣行為」の対象範囲の拡大
今回の法改正におけるポイントの1つが、先ほども触れた「形態模倣行為」の範囲拡大だ。他人の商品形態を模倣して、酷似した商品を提供する行為を「形態模倣行為」と呼ぶ。たとえば、ブランド品によく似たコピー商品などは、不正競争防止法の規制対象となる可能性がある。
「模倣」とは法律上、他人の商品の形態に依拠して、これと実質的に同一の形態の商品を作り出すことを指す。しかし従来の制度枠組みでは有体物、つまり現実空間に存在するモノの取引を前提としており、デジタル空間での経済取引は想定されていない。メタバース上でやりとりされるアバター用の衣服や小物などは、規制の対象外となってきた。
今回の法改正によって、禁止されている形態模倣商品の提供行為に「電気通信回線を通じて提供」することが追加される。デジタル空間における模倣商品の提供も、法令に抵触する可能性があり、差止請求権等を行使できることが明確化されることになった。 【次ページ】やっかいな問題を生み出していた2つの制度のダブり
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