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- 2023/10/19 掲載
NTTがリモートワークを20年以上継続できた理由、「役所以上に役所的」文化の脱却
価値の創出源が「交換機」から「人材」にシフト
日本電信電話公社が民営化されたのは1985年。通信を取り巻く状況は、当時と様変わりしたことは、NTTの売り上げからも端的に見て取れる。1985年当時のNTTの売り上げは5.1兆円で、うち音声通話(電話)が83%を占めた。対して2022年の売り上げは倍以上の13.1兆円であるのに対し、電話の占める割合はわずか15%ほどだ。カイシャのミライ カレッジ 2023 Tokyo-Autumn-に登壇した日本電信電話の執行役員で総務部門長を務める山本 恭子氏は、「かつては交換機がNTTグループの電話という価値を生んでいました。しかし、現在はSI事業などが新たな柱に成長し、そこで価値を生むのは、企業の要求や悩みに適切にアドバイスできる人材にほかなりません。こうした考えを基に、当社は従業員体験(EX)を重視した働き方改革を展開しています」と解説する。
目指すのは、働きがいや自身の成長を感じられる職場づくりによるEXの向上、それによる労働への注力での顧客体験(CX)の向上、結果としての事業の成長による新事業創出や、より良い職場環境の整備という好循環である。
その実現に向け同社は、社員の能力を発揮、開拓するための「成長支援」と、快適な職場づくりのための「多様な働き方・働く環境整備」の両面から人材戦略を展開しているという。その中で、社員は入社時点からキャリアを自律的に考え、研修や業務を通じてスキルを底上げし、異動などにより新たな挑戦を繰り返しつつ、キャリアを自身でデザインしていく。
減点主義から挑戦する文化への変革
同時にNTTは組織文化の改革にも取り組んでいる。NTTはかつて、「役所以上に役所的」とやゆされることもあった。それは通信という社会のライフラインを担う事業であるが故に、各種判断で慎重さが強く求められたからこそだ。だが、経営環境が大きく変わったことで、考え方の転換が迫られているという。
「かつては慎重になり過ぎ、減点主義の考えに陥りがちになることもありました。これを、顧客重視を基本に、オープンに議論し、情報やプロセスを開示した上で失敗を恐れず挑戦する企業風土に変革することにも取り組んでいます。失敗しても、そこから学ぶことを重視するわけです」(山本氏) 【次ページ】リモートワークを他社よりも早く実現できた理由
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