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今話題となっているChatGPTがリリースされたのは、2022年11月のこと。このとき、グーグル社内では、ChatGPTが同社のビジネスにとって脅威になるのではないかとの懸念の声が社員から多数あがっていた。しかし、ピチャイCEOを含む経営陣は、AIの性急なリリースは、風評被害につながるとして慎重な姿勢を見せていた。しかし、社内だけでなく投資家からのプレッシャーが強まる中、グーグル経営陣がついにAIプロダクト「Bard」のリリースを決定したものの、その出だしにつまずき、科学者らが誤りを多数指摘するなど炎上模様。同社親会社のアルファベット株価は大幅な下落に見舞われている。ChatGPTとBardは何が違うのか。グーグルはどのようなAIで対抗しようとしているのか、最新の動きをまとめてみたい。
風評被害を懸念していたグーグル経営陣
これまでAIプロダクトのリリースに慎重な姿勢を見せていたグーグルのサンダー・ピチャイCEOだが、ChatGPTの脅威が社内で指摘されるなどしたため、その姿勢を変えざる得ない状況となっている。
CNBC が2022年12月13日に報じたところでは、同年11月にリリースされたChatGPTに関して、グーグル社内では社員から同社ビジネスの脅威になるのではとの懸念が噴出したが、ピチャイCEOを含めた経営陣からは、AIが示す情報の精度などを踏まえると、性急なアプローチは深刻な風評被害につながるリスクがあり、慎重にアプローチすべきとの発言があったという。
グーグルでも、ChatGPTと同等の能力を有する大規模言語AIモデルを開発しているが、ChatGPTに対抗して、それらのAIを性急にリリースすると、思わぬ風評被害を受けるという懸念が経営陣に共有されていた。
社内と投資家のプレッシャーの強まりと経営陣の姿勢変化
しかし、2023年に入り、グーグル経営陣の姿勢に大きな変化があり、立て続けにグーグルからAIプロダクトがリリースされる可能性があるとの情報が報じられている。
2023年1月31日、
CNBC は情報筋の話として、グーグルが社内でChatGPTの競合となるチャットAIプロダクト「Apprentice Bard(以下、Bard)」を試験しているほか、チャットAIを統合した検索エンジンの新デザインの準備をしていると報じた。
また翌月2月2日には、ピチャイCEOが投資家らに対し、大規模言語AIモデル「LaMDA(Language Model for Dialogue Applications:対話アプリケーション用言語モデル)」を搭載した検索エンジンを「近々(very soon)」リリースする計画であると発言、また激化するAI開発競争に備え、グーグル傘下のAI開発企業ディープマインドの組織改革を実行していると発言したことが報じられた。
直近2月6日には、グーグルが全社員に対し同社のチャットAI「Bard」をテストするよう要請したほか、LaMDA技術を利用できるAPIを用意し、一部のデベロッパーと企業を招待する計画であると
報じられた 。
昨年12月時点では、AIのリリースに関して慎重な姿勢を見せていたグーグル経営陣だが、社内だけでなく投資家らかもChatGPTへの対抗策を示すべきとのプレッシャーが高まり、矢継ぎ早にAIサービス/プロダクトのリリースを急いでいる状況だ。
【次ページ】ChatGPTに対抗するグーグルの秘策
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