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- 2022/11/30 掲載
中国「新卒Z世代」が直面する過酷すぎる就職事情、起業意識高まる「7つの業種」とは
中国で「新卒Z世代」が注目されているワケ
日本の「団塊の世代」「ゆとり世代」などと同じように中国でも世代論が語られる。最も有名になったのは「80后」(バーリンホウ、1980年以降生まれ)で、物心ついた時には中国が豊かになっていたため、伝統にとらわれない改革世代だと言われる。現在の30代後半から40代前半にあたる世代だ。また、日本でもよくメディアに登場する「Z世代」は中国でもよく使われる。定義にもよるが1995年から2010年までに生まれた世代であるため、中国では「95后」という言い方もされる。Z世代は成人する時にはスマートフォンなどのモバイルが一般的になっていたモバイルネイティブ世代であるため、考え方やライフスタイルが上の世代と不連続になっていることから世界的に注目を浴びている。
さらに中国では、Z世代に注目するもう1つの理由がある。中国の人口ピラミッドを見ると、45歳から55歳(70后)と30代前半(80后)の2つにピークがある。
人口が増えることは消費が増えることであり、中国はこの2つの人口ボーナスを巧みに利用することで経済成長をしてきた。しかし、Z世代(10歳から24歳)の人口は大きく減少する。このZ世代が有効消費者になる時期にはあらゆる産業が縮退することになる。
近年、中国の経済成長が鈍化しているのには、さまざまな複合要因があるものの、根底にあるのはこのZ世代の世代人口の減少だ。
そして、2022年に入ってから話題になることが多くなったのが「00后」(リンリンホウ、2000年以降生まれ)だ。00后はZ世代のど真ん中世代だが、従来のZ世代とは大きく異なる特殊な事情がある。00后は現在の22歳以下であり、現在大学の卒業時期を迎えている。
しかし、その大学生活のほとんどがコロナ禍だった。講義はオンラインとなり、人との接触を避けるため友人や恋人をつくる機会も奪われ、企業インターンを体験する機会も少なくなり、ひたすら与えられた課題を孤独にこなしながら社会に出てくる。しかも、コロナ禍の影響により、多くの企業が新卒採用を絞り込んでいる。
若年層失業率は過去最高、新卒Z世代が直面する過酷な環境
2022年の大学卒業者数は1076万人と過去最高になり、16歳から24歳の若年層失業率も2022年7月には19.9%となり過去最高となった。国家統計局のスポークスマンはこの高い失業率を「摩擦的失業」という言葉を使って説明した。摩擦的失業とは転職や職探しのために技能習得や就職活動により離職をしている状況だ。平均失業率は高くはなく、若年層だけ突出して高いことから摩擦的失業だと考えられるとした。しかし、反論する専門家もいる。大卒の若者は高いスキルを身につけているものの、それを満足させる高技能、高報酬の仕事は限られている。そのため、就職を見合わせて、より高い技能を習得しようとしている。これは、雇用のミスマッチによる「構造的失業」、あるいは両者の「複合型失業」だと主張している。
重要なのは、政府の言う摩擦的失業であれば短期間に自然に解消されていくが、専門家の言う構造的または複合型失業の場合、社会構造を変えない限り長期化するということだ。
このような過酷な環境に置かれた00后は、意外なことに就職を拒否して起業を目指す若者が増えているという。ただし、テック系で株式公開を目指すという起業ではなく、お店を持ちたいという起業だ。従来の起業イメージを覆す、中国の新卒Z世代が起業を目指す領域は、次の7つの業種だ。
【次ページ】中国の新卒Z世代が起業を目指す「7つの業種」
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