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- 2022/06/01 掲載
「圧倒的成長率」東南アジアEC最新動向、“アマゾンよりスゴい”プレーヤーたち
急成長する東南アジアEC市場
コロナ禍により、世界各地でEコマース需要の急拡大が観察された。主に話題になるのは米国、欧州、インド、中国の市場動向だが、これらの国・地域を超える勢いで成長している市場があることはあまり知られていない。それは、東南アジアのEコマース市場だ。
メタ(旧フェイスブック)とベイン・アンド・カンパニーが2021年8月末に発表した市場分析レポートによると、東南アジアにおけるリテール市場全体に占めるEコマースの割合は、2020年の5%から2021年には9%と、1年で85%上昇する可能性が示された。この増加率は、インドの10%、中国の5%を大きく上回るもの。また、Eコマースの急成長が注目されたブラジルの14%を大幅に上回っている。
これに伴い、東南アジアにおけるEコマース売上高も2020年の750億ドル(約9兆7,500億円)から、2021年には1,320億ドル(約17兆1,600億円)と1.8倍増加する見込みだ。また、今後5年で年間平均80%ほどの成長率を維持する可能性があり、2026年には2,540億ドル(約33兆円)に達するとも予想されている。
右肩上がりに増加する1人あたりの支出額
注目すべきは、東南アジアEコマース市場における1人あたりの支出額の増加だ。域内における1人あたりのEコマース年間支出額は、2019年に135ドル(約1万7,550円)とそれほど大きなものではなかったが、2020年には238ドル(約3万1,000円)と2倍近く増加。この238ドルは確定した数字で、当初予想の172ドル(2万2,361円)を大きく上回ることとなった。さらに、2021年には381ドル(約4万9,500円)、2026年には671ドル(8万7,234円)に達すると予想されている。
一見現実的ではない予想に見えるが、東南アジア市場における世帯収入の成長率を鑑みれば、妥当なものであることが分かる。たとえば、域内の中でもすでに経済が成熟しているシンガポールにおいても、世帯収入(中央値)は、2010年の6,342シンガポールドル(約59万4,000円)から、2019年には9,425シンガポールドル(約88万3,000円)と1.5倍に増えている。
ちなみにメタとベイン・アンド・カンパニーによるレポートの調査対象となっているのは、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムの6カ国。人口5,400万以上のミャンマー、カンボジア、ラオス、ブルネイは含まれていない。
【次ページ】なぜ、東南アジアEC市場は成長し続ける?
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