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- 2021/08/19 掲載
スターバックス元CEO岩田松雄氏が提言、今こそ企業も個人も「ミッション」へ回帰せよ
今、求心力としてのミッションが重要に
今日は、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)に満ちた「VUCA(ヴーカ)の時代」といわれるが、同氏は量子力学や最新の宇宙理論などにも触れて科学技術がめざましい勢いで進化していることを実感、学び続ける力が大事だと考えるという。
VUCAといえば、コロナ禍を起因としたリモートワークもこれを象徴する変化だ。岩田氏はこれを“遠心力が働いている”と表現する。このような時代にこそ、よりいっそう求心力が重要になる。組織にとって普遍的な求心力とは何か。それはミッションだ、と同氏は言葉に力をこめた。
企業の目的は、利益の最大化ではない
ここで岩田氏は自身の経歴を振り返った。最初に入社したのが日産自動車。高い志を持つことが大事だと思い、新入社員挨拶で「社長を目指す」と発言した。3年後、この会社には経営理念がないと思った同氏は、新天地を求めることにした。経営に興味を持ったきっかけは、向かい合って営業する2店のハンバーガーショップの存在だった。片方は店員が生き生きしているのに対して、片方はいやそうに働いている。これはマネジメントの違いから来るものだと思い、自ら企業経営の理想を追い求めることにしたのだ。
その後、経営者となり「会社は何のために存在するのか」を問い続けて、啓示を受けるように悟ったのは、ザボディショップジャパンのトップを務めていたときだった。「企業というのは、事業を通じて世の中をよくするためにある」と考えるや、すべてのことが腑に落ちるようになった。THE BODY SHOPは化粧品を通じて、スターバックスはコーヒーを通じて世の中をよくするというミッションを帯びているのだ。
一般的には、100人の経営者に企業の目的は何かと尋ねると、99人は利益の最大化と答えるという。しかし、岩田氏は「それは違う」と断言する。
「それぞれの企業にはミッションがあり、ミッションを遂行するために企業は存在します。そのための手段として必要になるのが利益です。これはドラッカーやコトラーも述べていることです」(岩田氏)
【次ページ】ミッション、ビジョン、バリューの中でもミッションが特別な理由
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