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  • 2020/08/11 掲載

未来都市「スーパーシティ」への街づくり、どの企業が“担う”のか

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2020年5月27日、「国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案」、いわゆる「スーパーシティ法案」が国会で成立した。同法案は、政府が推進する「スーパーシティ構想」を実現するためのものであり、国家戦略特別区域に関する法律の特例に関する措置を追加する。では、民間企業は「スーパーシティ構想」の実現に向けてどのような取り組みを実施しているのだろうか。
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スーパーシティ法案は日本の「デジタル戦略」を実現するカギを握る
(Photo/Getty Images)
 

改めて「スーパーシティ構想」とは何か

 政府が示す「スーパーシティ構想」は、地域と事業者と国が一体となって目指す取り組みだ。AI(人工知能)やビッグデータなどの最先端の技術を活用し、地域課題の解決を図り、規制改革に取り組みながら複数の産業で、先行的に未来の暮らしが可能な「丸ごと未来都市」を実現する。

 具体的には、次の3要素を満たす都市が「スーパーシティ」となる。

  1. 移動、物流、支払い、行政、医療・介護、教育、エネルギーや水、環境・ゴミ、防犯、防災・安全の10領域のうち少なくとも5領域以上をカバーし、生活全般にまたがること

  2. 2030年頃に実現される未来社会での生活を加速実現すること

  3. 住民が参画し、住民目線でより良い未来社会の実現がなされるようネットワークを最大限に利用すること

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(出典:内閣府 地方創生推進事務局 2020.6)

 また政府は2020年6月1日、スーパーシティ構想の実現に向けたデータ連携基盤整備事業の実施に向けて、有益と思われる技術アイデアを募集している。「データ連携基盤」に関わる技術を持った企業や団体などから幅広く公募しているのが特徴だ。なお、2019年9月には「スーパーシティ」構想に関連する自治体からアイデア公募を実施し、2020年6月1日時点で、団体からのアイデア提出を受け付けている。

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(出典:内閣府 地方創生推進事務局 2020.6)



「スーパーシティ構想」の実現に向けた取り組み

 「スーパーシティ」構想の実現に不可欠なのが、都市間の相互運用性の確保やデータ連携基盤(都市OS)の安全管理基準などを法定化である。また、国や自治体などに対し、その保有するデータの提供を求めることができ、複数の先端的サービス事業の実現に必要な複数分野の規制改革を同時・一体的に実現できるよう、特別な手続の整備も必要だ。

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(出典:「国家戦略特別区域法の一部を改正する法律」の成立について 2020.6.3)

 政府は2020年6月10日、第45回 国家戦略特区諮問会議を開催した。今後のスケジュールは、夏頃に区域指定基準を含む国家戦略特別区域基本方針改定案を示し、「スーパーシティ」構想を進める地方自治体を9月に公募を開始する。

 新型コロナの影響もあり、予定を後ろ倒しにして2020年12月末から2021年2月ごろに募集を締め切り、2021年3月にスーパーシティ区域を5カ所程度、指定する。指定された自治体は住民や関係する事業者の意向を確認した上でスーパーシティを整備する計画だ。

 スーパーシティの推進にあたっては、都市間の相互運用性確保と安全管理基準や、住民などの関係者の意向の確認方法、「住民合意」をどう得ていくか、がポイントとなる。

 都市間の相互運用性確保では、都市ごとに、バラバラでつながらないデータ連携基盤とならないよう、それぞれのAPI(Application Programming Interface)を公開する。これにより、サービスの都市間横展開が容易になり、万一の時でも、サービスを変えずにデータ連携基盤だけ取り替え可能といったことが可能となるというわけだ。

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(出典:45回 国家戦略特別区域諮問会議 2020.6.10)

 安全管理基準も設けている。たとえば、サービス間のデータの連携、共有の要となる、データ連携基盤整備事業者に対しては、サイバーセキュリティ対策などの安全管理基準を規定し、その遵守、適合を内閣府が確認することを挙げている。

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(出典:45回 国家戦略特別区域諮問会議 2020.6.10)

 区域会議による「住民合意」では、区域の遊民が抱える課題を抽出・整理し、これらの課題を解決するためのサービスやサービス間のデータ連携、共有に関する基本構想を策定する。区域会議では、基本構想の申請にあたって、住民や利害関係者の意向を協議会や議会、住民の投票などによって意向を確認する。

民間企業でも取り組みが加速している

 民間企業でもスーパーシティやスマートシティの実現に向けた取り組みが進められている。

 トヨタ自動車とNTTは2020年この3月、スマートシティの実現をめざし、スマートシティビジネスの事業化が可能な長期的かつ継続的な協業関係を構築することを目的として、業務資本提携を発表した。

 先行ケースとして、まずは静岡県裾野市東富士エリア(Woven City)などに、「スマートシティプラットフォーム」を共同で構築する。本取り組みでは、政府の都市OSアーキテクチャを参照し、他都市と連携も進める計画だ。

 政府が進める「スーパーシティ」構想とトヨタ自動車やNTTが共同で構築する「スマートシティプラットフォーム」などが、共通のデータ連携基盤で構築できるようになれば、他の都市への展開が加速することが期待される。

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トヨタ自動車やNTTが共同で構築する「スマートシティプラットフォーム」
(出典:NTT 報道発表資料 2020.3)

 各自治体でも、スーパーシティやスマートシティに関連するプロジェクトがスタートしている。

 東京都は2020年7月17日、東京のスマートシティ化の加速に向けて、先行エリアとして、「大丸有(大手町・丸の内・有楽町地区スマートシティプロジェクト)」、「竹芝(Smart City Takeshiba)」、「豊洲エリア(豊洲スマートシティ)」の3件のプロジェクトを採択した。

 本プロジェクトは、「スマート東京・TOKYO Data Highway戦略」の推進に向けた先導的事業となる。

 都内のデータや先端技術が集積するエリアにおいて、地域に密着したリアルタイムデータ・AIなどを活用した複数分野のサービス展開のモデルを構築するため取り組みを推進する。東京都では、令和2年度は、補助上限額は4000万円、補助率は2分の1以で最大3年の期間のプロジェクトを支援する。

 Smart City Takeshibaでは、竹芝地区において収集した人流データや訪問者の属性データ、道路状況、交通状況、水位などのデータをリアルタイムに活用できるデータ流通プラットフォームや、先端技術を活用したサービスなど実装する。

 回遊性の向上や混雑の緩和、防災の強化などを実現し、竹芝および周辺地区の課題解決に向けた取り組みを進める。参画企業は東急不動産、鹿島建設、CiP協議会、ソフトバンクだ。


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