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  • 2021/06/08

なぜ、スマートシティのマネタイズは難しいのか? ビル・ゲイツの砂漠購入が賢いワケ

世界各地で開発が進むスマートシティには、多くの課題があります。その1つが「マネタイズ」です。スマートシティを作るには巨額な費用が必要となる一方で、それをどう回収し、その後もビジネスとしてどう成立させるかは、スマートシティ事業に取り組む企業にとって大きな課題です。今回は、スマートシティにおけるマネタイズについて、「IoT機器メーカー」「不動産」「価値教育」「顧客心理」「期間」の5つの視点から考えます。

スマプラ/スマプラ総合研究所 取締役付き人 長谷川 和成

スマプラ/スマプラ総合研究所 取締役付き人 長谷川 和成

大学時代、書道家になろうとするも挫折、図書館にこもり全ての本を読みあさる。仏教にあこがれるも出家する勇気もなく、ただの野良猫のように好きなことを追い求め、たどり着いたのが飲食業。関東にて飲食店を5店舗経営。
日々市場の動きを追うために、街を眺めていると、スマートシティの原点は神社、仏閣にあることに気づく。北鎌倉の寺の石段の幅を測って、当時の人々の平均身長を求めるなど、宗教、哲学、美術の世界から答えを導きだそうとしている。

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5つの視点で考えるスマートシティのマネタイズ
(写真はイメージです)
(Photo/Getty Images)


センサー、IoT機器メーカーは儲かっているのか?

 未来の都市、スマートシティ。最先端テクノロジーが利用され、ビックデータが生み出され、ITベンダーがこぞって参入し始めています。しかしながら、ビジネスとして成り立っているのか、つまり儲かっているのかというと、そうでもないことが見えてきます。

 スマートシティの土台となっているテクノロジーは、センサーやネットワーク通信です。センサーの種類は非常に多く、GPS、加速度、ジャイロ、画像、温度、湿度、距離、超音波などがあります。それらをネットワークにつなげることでIoTができあがります。そして、それらのデータをクラウドで一元管理、データ連携を行い、新しい価値を提供します。

 都市によっては、課題は特にない、現状で満足だという意見があります。ただ、そこにデータという形ですべての人やモノの動きを可視化すると、見えなかったものが見えるようになり、さまざまな課題が顕在化してきます。それは今まで気づかなかった課題です。それに対応していくと、今まで提供できていなかった視点の価値を提供することにつなげることができます。

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IoT機器メーカーから見たスマートシティビジネスとは
(Photo/Getty Images)

 では、それを実行しようと考えると、たくさんのセンサーが必要になります。スマートシティが現在の各都市に導入されるようになれば、その数の分だけセンサーとシステムは必要になってきます。ただ、まだ現状はその数が非常に少ないのが現実です。しかも、日本はスマートシティといっても、あるいくつかのカテゴリのみであり、欧米や中国と比較すると規模が小さいです。

 たとえば「1万個のセンサーを設置します」といった場合、かなり大きなインパクトがあるように感じますが、センサーメーカーの視点からすると、1つ100円のセンサーだと100万円にしかなりません。1000万個、1億個などまで広がれば大きなビジネスになってきますが、1万個程度では少ないのです。

 IoT機器メーカーも同様に、100個や1000個程度では機器よりも、構築に関わる人件費で収益を上げるという形になってしまいます。つまり、センサーやIoT機器側からすると規模の経済で、大規模でないと“うまみ”がほとんどないことになります。

 今後、スマートシティ化する都市が増えていくことが望まれますが、問題はセンサーやIoT機器の単価も毎年値下げされるということも課題となってきます。


既存の都市をスマート化する難しさ

 続いて、不動産の視点からスマートシティのマネタイズを考えてみます。ここでのキーマンはビル・ゲイツ氏です。

 2017年に同氏は、アリゾナ州バックアイの郊外にある土地2万4800エーカー(約1万ヘクタール)を8,000万ドルで購入しました。目的はスマートシティ・ベルモントを作るためです。8万戸の住居、20万人の人口を受け入れることが想定されています。

 この土地は本当に何にもない場所です。つまり、当然ですが電気もガスも水道もありません。「なんでそんな所に?」と思うかもしれません。ただ、考え方を変えると、そもそも米国大陸自体がそのような土地であるため、インフラは新しく作れば良いのです。

 既存の都市をスマート化しようとすると、実は大きな問題があります。既存のインフラがあるため開発が容易ではないのです。また、そこにはすでにその土地を所有している所有者がいます。その方が反対するとその場所には手がつけられません。一方、何もない場所であれば、よりスピード感をもって開発していくことが可能になります。

 一からの街づくりになるにせよ、8万戸の家の建設費、20万人が住んだ時の地価や経済効果を考えるととんでもない金額を生み出すことになります。

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