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- 2021/05/12 掲載
スマートシティ「圧倒的」王者。コペンハーゲン、NYが他の都市と一線を画す理由
海外スマートシティ事例
大手外資系ITベンダーにて30年勤務。システム管理領域において、営業リーダー、マーケティングリーダー、事業戦略を歴任。 Web/チャット/ビデオ会議等デジタルを使った新しい営業組織の立上げ、マーケティングおよび事業戦略を担当。 スマプラ株式会社に参画。スマートという便利さと、プラプラ散歩するという楽しさ、仏教の安らぎを兼ね備えたワクワクするまちを作ろうとしている。 スマプラ総合研究所では、スマートシティやDXに関するコンサルティングやマーケティング支援、市場調査などを展開している。
ニューヨークを丸ごとWi-Fiスポット化する「Link NYC」
今はご時世柄訪れることが難しいですが、ニューヨークのマンハッタンを歩くと、歩道にデジタルサイネージが多く設置されていることに気づくと思います。これは、「Link NYC」というプロジェクトで、グーグルの関連会社となるサイドウォークラボ(Sidewalk Labs)が仕掛けるキオスク端末(街頭・店舗・公共施設などに設置される、固定された情報端末)です。この端末のすごいところは、さまざまな機能が含まれている点にあります。
- 55インチのディスプレーが2枚
- 公衆無線Wi-Fi
- タブレット(Webブラウザとして利用可能)
- 電話(無料で電話が利用可能)
- 911ボタン(救急車両を呼び出すことが可能)
- USBポート(スマホの充電が可能)
- 赤外線センサー(人の動きを把握)
- 監視カメラ
さらに、大気汚染や気温、騒音などのセンサーを加えることで、あらゆる情報を集めることができます。
設置場所は、公衆電話が設置されていた場所を活用しており、通信や電力が以前から引かれていたことから、スムーズにこのLink端末への移行が可能となっています。驚くべきはその数です。計画では7500台を設置することになっており、現在1817台が稼働中です(設置場所は、公式サイトで確認できます)。これだけの数を設置すると、ニューヨーク全体が無料Wi-Fiスポットになります。
街に張り巡らされた端末、マネタイズの仕組みは?
では、この情報をどう使うのかという点がポイントになってきます。つまり、マネタイズをどうするのかです。まず、一番の収入源は通常のデジタルサイネージとしての広告料です。Wi-Fi使用時のブラウジングから、ターゲット広告を出す。あるいは、広告を見た人が目の前の店舗にどの程度入っていくのかを分析することも可能でしょう。
さらに、どの程度の人がその道を歩いているのかは、ビルの資産にも大きなポイントになってきます。つまり、不動産会社にとって重要なデータと成り得るのです。路肩の駐車場が空いているのかどうかも把握できるため、「スマートパーキング」としての利用も可能になります。
カーナビゲーションのシステムに導入すると、A地点からB地点に設定した際に、人の混雑状態などを把握してルートを変えるといったことも可能になります。都市全体が見える化されることで、さまざまなメリットとマネタイズが可能となります。
これと同じようなソリューションを別のデバイスに組み込むことで実現している例もあります。GEが提供している街灯です。Link端末のディスプレーが付いていないバージョンだと考えてください。
既存の街灯を取り替える形で設置されており、興味深いセンサーが組み込まれています。それは拳銃の発砲音です。銃社会米国ならではですが、発砲音からすぐに場所が特定されますので、警察がその場所へ駆けつける仕組みとなっています。
【次ページ】世界一のスマートシティ・コペンハーゲンはここまですごかった
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