- 会員限定
- 2020/06/17 掲載
コロナ禍で暴かれた、フリーランスやダブルワーカーの致命的な問題点
ギグ・エコノミーはオワコンか?
ギグ・エコノミーは大きく2種類に分類される
ギグ・エコノミー、ギグ・ワーカーという言葉がポピュラーになったのは恐らく2016年頃と思われる。世論調査会社、ギャロップによると2018年の時点で何らかの形でギグ・ワーカーとして働いていると答えた米国人は36%に上っていた。内訳を見ると、フルタイムの仕事をしながらサイドワークとして働いている人が24%、パートタイム・ワーカーでは49%がギグ・ワークに携わっていた。人口にすると、米国ではおよそ5700万人だ。ただし、ギャロップではギグ・ワーカーには2通りのものがあるとしている。
1つは独立したギグ・ワーカー、すなわちフリーランスと呼ばれる働き方をしている人々だ。小規模の起業をしている人、映画などのエンターテインメント産業で働く人、IT関連などが多い。もう一つは偶発的ギグ・ワーカーと呼ばれる、生活のためにダブルワークをしたり、あるいは正規の雇用が得られるまでのつなぎとして働く人々を指す。ここにはUberなどのライドシェアのドライバーなどが含まれる。
ギャロップがそれぞれのギグ・ワーカーと普通に雇用されている人々の職に対する意識をまとめた表が興味深い。
「自分の職場に属している意識」「仕事への情熱」「自立性と権威」「クリエイティブ・イノベーティブ」「フィードバックの受け取り」「管理されたパフォーマンス・メトリック」「目標設定の共有」「安定と安心」「報酬への動機づけ」「報酬への満足度」「ヘルシーなワークライフバランス」「時間の融通」「柔軟性」というすべての項目において、独立系ギグ・ワーカーの数値が最も高い。
唯一伝統的なワーカー(一般的な雇用者)が高いのは「報酬のタイミングと正確さ」であり、サラリーを確実に受け取れることが雇用されるメリットであることが明らかだ。一方で偶発系ギグ・ワーカーはすべての数値が低めになっている。
つまり、そもそもとして、ある程度能力があり、独立して好きな時間に働き、それなりの報酬を得ることができるギグ・ワーカーと、生活のために仕方なく行うギグ・ワーカーの間には大きな差があったことになる。
コロナ禍で最もダメージを受けたのはギグ・エコノミー
しかし、ここで興味深いのは、このどちらもコロナウイルスにより大きな打撃を受けているという点だ。まず、両者とも雇用されていないという点で失業保険の申請などが不利になる。多くが個人事業主であり、店舗などを構えていることがまれであるため、小規模ビジネス向けの低金利ローンなども申請しにくい。健康保険についても雇用者が提供する保険を持たないため、中には無保険のままの人もあり、コロナウイルスに罹患(りかん)した場合の医療費が高額となる。疾病休暇などにも当然、該当しない。
もちろん、一部のギグ・ワーカーはコロナウイルスにより仕事が急増している。Uber Eatsなどの食品デリバリー、アマゾンその他のデリバリーの個人請負、さらにスーパーマーケットやウォルマートなどの一部小売店の臨時職員などだ。
ただし、これは一時的なもので、ロックダウン緩和が進み、レストランなどが再開されれば食品デリバリーの需要は激減すると考えられる。一般デリバリーは米国ではネットショッピングが急増したため遅延が生じるなど、今後も需要が見込まれるが、徐々にドローンや自動運転によるデリバリーが普及すればやがてその需要も消滅するだろう。スーパーの臨時職員も同様だ。
WEF (World Economic Forum)によると、コロナ禍で最もダメージを受けたのはギグ・エコノミーという。対象は米国だけではなく世界中だが、68%もの人が「収入を失った」と回答した。また仕事そのものを失った人は52%、仕事はあるが働く時間が大幅に減少した、という人が26%。そして全体の89%が「あらたな収入源を求めている」としている。しかもある程度の蓄えがある、と答えた人は23%に留まっている。
【次ページ】増えたギグ・ワーク、減ったギグ・ワーク
関連コンテンツ
関連コンテンツ
PR
PR
PR
今すぐビジネス+IT会員にご登録ください。
すべて無料!今日から使える、仕事に役立つ情報満載!
-
ここでしか見られない
2万本超のオリジナル記事・動画・資料が見放題!
-
完全無料
登録料・月額料なし、完全無料で使い放題!
-
トレンドを聞いて学ぶ
年間1000本超の厳選セミナーに参加し放題!
-
興味関心のみ厳選
トピック(タグ)をフォローして自動収集!
投稿したコメントを
削除しますか?
あなたの投稿コメント編集
通報
報告が完了しました
必要な会員情報が不足しています。
必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。
-
記事閲覧数の制限なし
-
[お気に入り]ボタンでの記事取り置き
-
タグフォロー
-
おすすめコンテンツの表示
詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!
「」さんのブロックを解除しますか?
ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。
ブロック
さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。
さんをブロックしますか?
ブロック
ブロックが完了しました
ブロック解除
ブロック解除が完了しました