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- 2019/01/30 掲載
女性の就職で「職人」が意外とアリなワケ
下請けと3K職場からの脱却
二代目社長である中尾氏は、「当社はかつて、手ぬぐい染の下請けとして安い値段で商品を出荷していました。業界として生産量が確保できている時代は良かったのですが、輸入物のタオルやシルクスクリーンの手ぬぐいに押されてじり貧に。このままでは共倒れになってしまうと一念発起し、“にじゆら”を始めました」と話す。「にじゆら」とは、ナカニが運営する注染手ぬぐいのブランドのことだ。注染は「色・柄がボケている」とクレームになっていたが、その特色を逆手に取って「にじみ」としてデザインに生かし、商品化した。
今から約10年前に立ち上げたブランドだが、当初からアーティストとのコラボや自社でデザイナーを育成してきた。これがウケて、次第に認知度が上がってきたのだという。
しかし、その意に反して、力仕事やいわゆる汚れ作業も黙々とこなす女性の職人が現れた。京都大学大学院卒の女性だった。
中尾社長は「職人として入社希望でしたが、どうせすぐ辞めるだろう」と懸念していたことから、半年間断り続けたのだという。
結局、熱意に負けて入社することになるのだが、事務仕事や販売員を経て染の現場に就き、職人として働くことに。その後、結婚、出産を経て、事務職として復帰し、今も継続して働いている。
「彼女はわが社のパイオニア的な存在です。結婚をしたときも辞めずに勤務し、お子さんができたときも産休を経て染の現場や生産管理などの仕事をして継続して働き続けました。産休も育休も制度としてなかったのですが、彼女が第一号です。女性が働きやすい職場を作ることで採用の幅が広がりました」(中尾社長)
以降、工場をはじめとして女性は増え続け、当初23人中3名だった女性社員は現在、43人中27人に達するまでになった。
自社ブランドの販売で利益率が上がり、売り上げも右肩上がりに。古くは75~100枚もの手ぬぐいを持ち上げなければならなかった現場仕事も、現在は難易度が上がり生産数は減ったが、昔に比べると手ぬぐいの価値を上げることができたので、少しづつではあるが採算を合わせられ女性の雇用も前向きに考えられるようになったのだという。
【次ページ】職人に「キャリアのリセット」なし
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