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- 2018/08/17 掲載
SAPに聞いた「2025年保守切れ問題」、S/4HANAへ移行する選択肢には何があるのか
連載:次世代ERPによるビジネス変革
SAPの「2025年保守切れ問題」とは何か? SAPの正式な見解は?
ただ、それが具体的にどのような問題なのか。保守切れを迎える製品が何なのか。切れたらどうなるのか……等々。いまだはっきりしない部分は多い。
SAPジャパン ソリューション統括本部 デジタルアプリケーション1部 マネージャー 上硲優子氏は、この問題に対する同社の見解について「SAPジャパンが公式にアナウンスしているのは、現時点ではこのページの情報がすべてです。ここの表1の製品について、2025年12月31日までメインストリーム・メンテナンスを提供することが明記されています。では、それ以降、どうなるのかについては、現時点ではまだ何も決まっていません。このため、2025年12月31日を過ぎたら、サポートがすべて打ち切られるかのように受け止められていますが、『現時点では何も決まっていない』というのが事実です」と述べる。
表1 2025年12月31日までメインストリーム・サポートが提供される製品 | |
SAP Business Suite 7 コアアプリケーションリリース | |
SAP ERP 6.0 | |
SAP Customer Relationship Management 7.0 | |
SAP Supply Chain Management 7.0 | |
SAP Supplier Relationship Management 7.0 | |
SAP Business Suite powered by SAP HANA 2013 |
現実に、R/3などの過去のバージョンにおいては、古いバージョンを使い続ける企業に対して、カスタマースペシフィックメンテナンスが有償で提供されたこともあったという。
ただし、表1の製品についてのSAPの公式見解は、あくまで「2025年12月31日までメインストリーム・サポートを提供する」だ。
なお、もともと表1に上げた製品のメインストリーム・サポートは、2015年に終了する予定だった。それがユーザー企業の要望で2020年に延長され、さらに2025年まで延長されたという経緯があるので、さらに延長もあるのでは?という見解もあるが、本社からのアナウンスがないためSAPジャパンとしては「お答えできない」という。
SAP S/4HANAへの移行は進んでいるのか
現在、SAP ERPの最新バージョンは2015年にリリースされた「SAP S/4HANA」である。従来のSAP ERPのテーブル構成を見直し、インメモリデータベース「SAP HANA」をベースに、中間テーブルを廃し、要求されたタイミングでのオンデマンド集計処理を実現するなどさまざまな機能が強化された。もう1つ気になるのがアドオンの存在だ。特に日本企業は、パッケージで足りない機能をアドオンで開発し、それが移行の妨げになっているという見方がある。
「確かに、日本のお客さまはアドオンが多いという特徴はあると思います。作ったアドオンをそのまま移行しようとすると、その検証と移行に相応の工数が必要です。一方、移行をきっかけにアドオンを見直す場合も、業務部門を巻き込んだプロジェクトが必要になるでしょう。したがって、お客さまが次の基幹システムに何を求めるのかを、まずは明確することが重要になります」(川中氏)
とはいえ、上硲氏は「ここ数年は様子見だったのではないか」とし、今後の展開を次のように予想する。
「2015年2月にリリースされたS4/HANAは、当初は会計部分からスタートし、徐々に機能を拡張しました。現在のオンプレミス版は、1年に一度、大型アップデートを実施しています。このため、多くのお客さまは、これまでは様子見の段階であったと思います。しかし、ここにきてS4/HANAへ移行されたお客さまも増え始め、公表できる事例も増えてきました。今後はS4/HANAへの移行を検討されるお客さまは、確実に増えると予想しています」(上硲氏)
【次ページ】SAPが提示するS/4HANA移行の4つの選択肢
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