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  • 2018/06/15 掲載

世界のトップが思わず絶賛したプレゼン技術、「超一言」とは

Yahoo!アカデミア 学長 伊藤羊一氏が教える

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「人は、相手の話の80%は聞いていない」。そう指摘するのは、ソフトバンクアカデミアで孫正義氏にプレゼンし続け、国内CEOコース年間1位に輝いた伊藤羊一氏(Yahoo!アカデミア学長)。「そもそもみんな人の話を聞いていない」ことを大前提に置くという伊藤氏は、どのようにして世界のトップに認められたのか。単なる「論理的な話し方」「プレゼンのコツ」だけにとどまらない、“伝える技術”を教えてくれた。
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Yahoo!アカデミアの学長やグロービス経営大学院の客員教授、さまざまなアクセラレータープログラムのメンターとしてプレゼン指導を行う伊藤羊一氏。彼が教える、「プレゼンの極意」とは?

次の2つの言葉を比べてみてください

(1)
 これ、以前に〇〇さんが担当していた商品と似ているのですが、30代女性をターゲットとした商品です。〇〇さんが担当していたものとの違いですが、一応あれもけっこう売れたのですが、それと違いをつくらないといけないなと思いまして。さて、違いですが、ツイッターでも人気の〇〇氏というイラストレーターさんのイラストをパッケージに入れたいと思っています。〇〇氏は、以前の商品を昔使っていたようでして、ご自身のインスタグラムでも紹介していました。だから、8割方はお受けいただけるのではないかと思っています。
 もう1つ、前回からどう新しさを出していくかという点ですが、前回とは違った顧客層をイメージしておりまして、今回は以前より健康志向の人を取り込みたく、科学的にも実証された成分を入れて、より意識の高いユーザーに手に取ってもらえたらと思っております。

(2)
 わが社のロングセラー商品をベースに、パッケージデザインを改良し、成分の改善を加えて、30代女性をターゲットにさらなる売上増を狙った商品です。

 さて、どちらがわかりやすいでしょうか? どちらがもっと聞いてみようと思うでしょうか。

 当然、後者ですよね。

 「そんなの当たり前だよ」と思われるかもしれません。でも、私が見ている限り、95%くらいの方はいらない話を省けないばかりに、伝わらない状態でいます。しかも、そのことに気づかない。はっきり言って、もったいないことです。

 少し不要な話をなくして短く伝えられていたら、あの提案は通っていたのかもしれません。短く報告ができていたら、上司も仕事がやりやすくなり、あなたをもっと信頼していたのかもしれません。短く適切に相手の記憶に残せたら、普段会えない経営者に認められ、千載一遇のチャンスをつかめていたのかもしれません。

人は、相手の話の80%は聞いていない

 皆さんの多くが誤解しているのは、「自分が伝えたいことを話せば、人は話を聞いてくれる」ということです。

 確かに学校でも会社でも、そう教わってはきました。「前で話をしている人がいるのだから、静かに聞きましょう」。このように何度も言われてきたものです。

 でも、実際どうでしょう?(あなたは、聞いていますか?)

 まず、1つ気づいてほしいのは、そもそも、「人は、相手の話の80%は聞いていない」ということです。

 会議や朝礼など聞かざるを得ない状況で、いやいやその場にいるのかもしれない。たとえ最初は聞こうと思っていたとしても、いつの間にかぼんやりと違うことを考えてしまっているかもしれない(雨が降ってきて、「あ、洗濯物どうしたっけ」とか」)。聞いている人の頭をのぞいて見ると、眠いとか、退屈とか、ちょっと寒いなとか、早く終わらないかなとか、いろんなことを考えていると思います。

 でも、それが当然だと思ってください。

 自分の話を聞いてほしいなら、まず「みんな人の話を聞いていない」ということからスタートしてほしいのです。

チャンスをつかむには、「1分で話せ」

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『1分で話せ
世界のトップが絶賛した大事なことだけシンプルに伝える技術』
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 では、コミュニケーションをあきらめていいのかといえばそうではありません。チームで仕事をする上でコミュニケーションは非常に重要な要素です。

 チームの力を最大限活かすためには、自分の主張を相手にしっかり伝え、理解してもらい、動いてもらう力、すなわち「プレゼン力」が必要です。私が言うプレゼン力とは、人前で発表するスキルでも、話すスキルでもありません。人に「動いてもらう」力です。

 聞き手はそもそも8割方聞いていないし、理解もしていない。であれば、それをそもそも理解した上で少しでも相手の頭に残し、相手が動くためにはどうしたらいいか、の勝負になります。

 そのために必要なのは、「1分で話せるように話を組み立て、伝えよう」ということです。これが基本です。

 私が思うに、「1分でまとまらない話は、結局何時間かけて話しても伝わらない」。逆に言えば、「どんな話でも『1分』で伝えることはできる」ということなのです。

 特に忙しい上司や役員などは、1分の方が聞いてくれる確率は高いでしょう。5分で話すべきことも、30分かけて話すべきことも、1時間与えられた時でも、まずは「1分で話せるように」話を組み立てましょう。これができれば、格段に伝える力がアップします。

【次ページ】孫正義の記憶に焼き付けた「超一言」とは
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