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- 2017/05/29 掲載
2017年はスズキの年、その理由は「圧倒的に強いインド」だけではない
前期は増益率が2位、今期は増収率がトップ
スズキといえば、一般的なイメージは「二輪」「軽」「インド」だろうか。自動車大手7社の中では、売上高はトヨタ、ホンダ、日産に次ぐ4番手集団で、富士重工業改めSUBARU、マツダと3社で「3兆円台トリオ」を形成する。自動車業界の前期、2017年3月期決算は為替の円高の影響でSUBARU以外は減収を余儀なくされた。そのSUBARUはここ数年は北米で人気が出て「荒稼ぎ」したが、前期はマツダ、王者トヨタとともに2ケタの大幅減益を喫している。
日産は営業減益、三菱は最終赤字だった。一方、ホンダとスズキの2社は営業利益、最終利益とも大幅増益。スズキは、売上高は「軽」やOEMの売上不振で0.3%の微減だったが、営業増益率は36.5%でホンダの67.0%に次ぎ、最終増益率は37.1%でホンダの79.0%に次ぐ2位だった。
スズキの前期は営業損益ベースで約790億円の為替の悪影響をはね返し、2期連続で過去最高益を更新した「元気に稼いだ1年」だった。EPS(1株あたり利益)は前々期の234.98円から362.54円へ、営業利益率は6.14%から8.41%へ、ROE(自己資本利益率)は9.56%から15.40%へ、それぞれはね上がっている。
2018年3月期の業績見通しは、売上高が増収に転じ3兆4000億円で7.3%増。現時点で自動車大手7社中最大の増収率を見込んでいる。営業利益は2400億円で10.0%減益、最終利益は1450億円で9.4%減益の見通し。想定為替レートはドル円110円、ユーロ円115円、1インドルピー=1.65円である。
前向きな減益、理由は「未来への成長投資」
スズキの今期の減益見通しは、販売不振や減損損失、リストラ費用計上といった「後ろ向きな減益要因」によるものは小さく、設備投資に伴う減価償却費、研究開発費のコスト増加といった「前向きな減益要因」によるものが大半を占める。設備投資は2200億円で10.6%増、減価償却費は1800億円で10.1%増。「未来への成長投資」の研究開発費は1500億円で14.1%増。今期は減収、2ケタ減益を見込んでいるトヨタの研究開発費は1兆500億円と巨額だが、伸び率は1.2%増に抑えられている。それに対しスズキ、マツダ、SUBARUの「3兆円台トリオ」の研究開発費は揃って2ケタ増と、対照的に見える。
スズキは現在、「新中期経営計画SUZUKI NEXT 100」(2015~2019年度)で、5年間累計で1兆円の設備投資を行うとともに、2019年度(2020年3月期)に研究開発費を2000億円に乗せることを目指している。その3年目にあたる今期の減益は成長のための積極投資に伴うもので、言ってみれば「伸びんとすれば、まず屈せよ」だろう。
鈴木修会長は、決算説明会で研究開発投資について「10年、20年前には想像できなかった変化が起きている。生き残りをかけてやるしかない」と述べている。世界の自動車業界が大きな変化に直面する今、安全技術、自動運転、電動化、ITのような技術革新に乗り遅れるのは、成長できないどころか生き残れない危険すらはらんでいる。
だから2月、スズキは次世代技術開発についてトヨタと業務提携を結んだ。それに関し鈴木修会長は「ギブアンドテイク」という言葉を使っている。
【次ページ】今期世界販売台数の伸びは5.2%で業界2位
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