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- 2017/04/25 掲載
テラドローン 徳重氏が「日本企業にはドローンビジネスが向いている」と考える理由
産業ドローンを2つめの事業柱として選んだ理由
テラドローンは、アジアを中心にEV(電動2輪・電動3輪)の製造・販売を行うテラモーターズが立ち上げた2つめのグループ会社である。両社とも代表取締役社長は徳重 徹氏が務める。徳重氏には「日本からメガベンチャー企業を生み出したい」という強い思いがあり、自ら手がける2本目の事業柱として、産業ドローンを選んだ。なぜこの市場だったのか? 徳重氏はその理由を次のように語る。
また、ここではEV事業での製造経験が活かせた。すでにドローンのハードウェア開発は中国のDJIが主権を握りつつあったが、バッテリー、モーター、コントローラーの3点セットで構成されるという点でEVとドローンは親和性があり、どう取り組むにしても一日の長を発揮できると考えたのである。
世界中の見込み顧客に会いに行き、ソリューションを詰めていく
2016年3月の会社設立以来、同社が邁進しているのは業界・業種に特化したソリューション構築である。社内でドローン活用アイデアを山のように挙げ、そのそれぞれについてリアリティと見込み顧客を綿密に調査。行けそうだ、となれば、世界中の見込み顧客に会いに行き、顧客のニーズに合った形でドローンソリューションを詰めていく。「このサイクルをとにかく高速に回し続けることが大事」と徳重氏は強調する。日本市場で最初に具体化したのは、建設業界の土木測量分野である。たとえば、ドローンで写真測量を行い、高精度な三次元図面を短時間で作成、それを土量管理、工事の進捗管理に利用する(図1)。
受け入れられた背景には、同業界の恒常的な労働者不足もある。国土交通省は、ICTの活用で生産性向上を図る「i-Construction(アイ・コンストラクション)」という取り組みを進めている。推進企業には優遇措置が与えられたこともあって、2017年3月までで約300案件を受注したという。これとは別に、ドローンで取得した3次元データをショベルカーなどの建機に送り、これを自動制御しようという動きもある。土木測量は現在、オーストラリアでも活発に案件が動いているそうだ。
今後必要になるのは航空管制システム、ベルギーの会社に5億円を投資
オーストラリアではまた、採鉱分野でも同社ドローンソリューションが立ち上がりつつある。日本では市場がないためイメージがわきにくいが、採掘した鉱石をドローンに搭載したレーザーで測量して在庫管理などを行う。そのスケールは1,000ha単位(東京ドームの約200倍)であるといい、そこにドローンの歓迎されるゆえんがある。レーザー測量には、写真よりデータ精度が向上可能であるとともにデータ処理しやすい利点がある(図2)。一方、ドローン市場が本格的に立ち上がり、オペレーターが要らない目視外航行が主流になったとき、必要になるのは航空管制システム(UTM、Unmanned Traffic Management)である(図3)。
これは業界・業種を問わずに求められる、いわばドローンの産業インフラだ。その重要性を認識した徳重氏は、この分野における最も先進的な企業、ベルギーのUnifly(ユニフライ)社に5億円を投資。筆頭株主になると共に、徳重氏自身が役員として経営に参画することで、早々に布石を打った。
【次ページ】ドローン市場を取りたいなら、日本は"カチコチ思考"を捨てるべき
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