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  • 2017/04/25 掲載

テラドローン 徳重氏が「日本企業にはドローンビジネスが向いている」と考える理由

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ドローンビジネスは本格化直前の今が参入のチャンスだ。しかし、これより遅れれば後はない。日本は様子見をやめて本気を出せ──。そう熱く語る徳重 徹氏は、電動バイクの製造・販売であっという間に国内シェアを制し、すぐさま海外へと展開したテラモーターズの創業社長だ。そんな徳重氏が次に起ち上げたのは、「産業ドローン」をドメインとするテラドローン。「第2回ジャパン・ドローン2017」に登壇した徳重氏に単独インタビューを行い、ドローンに挑む理由と市場の可能性、ドローンビジネス成功のポイントなどを伺ったので、講演の内容と合わせて紹介しよう。

産業ドローンを2つめの事業柱として選んだ理由

 テラドローンは、アジアを中心にEV(電動2輪・電動3輪)の製造・販売を行うテラモーターズが立ち上げた2つめのグループ会社である。両社とも代表取締役社長は徳重 徹氏が務める。徳重氏には「日本からメガベンチャー企業を生み出したい」という強い思いがあり、自ら手がける2本目の事業柱として、産業ドローンを選んだ。

 なぜこの市場だったのか? 徳重氏はその理由を次のように語る。

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テラモーターズ/テラドローン
代表取締役
徳重 徹氏
「当初、候補としてはAIやIoT、エネルギー分野なども挙げていました。その中でドローンを選んだのは、検討した2015年当時、まだ市場が黎明期で固まっておらず、いかようにでも取り組める自由度があった。いわば絶好のタイミング。逆にいえば今しかなく、今を逃せば、MBA取得のため学生生活を送り、インターネット市場に遅れたときのように後悔すると思ったからです」(徳重氏)

 また、ここではEV事業での製造経験が活かせた。すでにドローンのハードウェア開発は中国のDJIが主権を握りつつあったが、バッテリー、モーター、コントローラーの3点セットで構成されるという点でEVとドローンは親和性があり、どう取り組むにしても一日の長を発揮できると考えたのである。

世界中の見込み顧客に会いに行き、ソリューションを詰めていく

 2016年3月の会社設立以来、同社が邁進しているのは業界・業種に特化したソリューション構築である。社内でドローン活用アイデアを山のように挙げ、そのそれぞれについてリアリティと見込み顧客を綿密に調査。行けそうだ、となれば、世界中の見込み顧客に会いに行き、顧客のニーズに合った形でドローンソリューションを詰めていく。「このサイクルをとにかく高速に回し続けることが大事」と徳重氏は強調する。

 日本市場で最初に具体化したのは、建設業界の土木測量分野である。たとえば、ドローンで写真測量を行い、高精度な三次元図面を短時間で作成、それを土量管理、工事の進捗管理に利用する(図1)。

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図1■ドローンによる土木測量

 単にドローンで撮った画像を渡すというだけでなく、ニーズに合わせた精度調整、航行の前工程作業、図面描画、迅速なオペレーションといったところまで踏み込んでソリューションとして仕上げたのが功を奏した。

 受け入れられた背景には、同業界の恒常的な労働者不足もある。国土交通省は、ICTの活用で生産性向上を図る「i-Construction(アイ・コンストラクション)」という取り組みを進めている。推進企業には優遇措置が与えられたこともあって、2017年3月までで約300案件を受注したという。これとは別に、ドローンで取得した3次元データをショベルカーなどの建機に送り、これを自動制御しようという動きもある。土木測量は現在、オーストラリアでも活発に案件が動いているそうだ。

今後必要になるのは航空管制システム、ベルギーの会社に5億円を投資

 オーストラリアではまた、採鉱分野でも同社ドローンソリューションが立ち上がりつつある。日本では市場がないためイメージがわきにくいが、採掘した鉱石をドローンに搭載したレーザーで測量して在庫管理などを行う。そのスケールは1,000ha単位(東京ドームの約200倍)であるといい、そこにドローンの歓迎されるゆえんがある。レーザー測量には、写真よりデータ精度が向上可能であるとともにデータ処理しやすい利点がある(図2)。

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図2■写真と比較したレーザー測量の利点

 一方、ドローン市場が本格的に立ち上がり、オペレーターが要らない目視外航行が主流になったとき、必要になるのは航空管制システム(UTM、Unmanned Traffic Management)である(図3)。

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図3■産業ドローン・ソリューションの構造図

 これは業界・業種を問わずに求められる、いわばドローンの産業インフラだ。その重要性を認識した徳重氏は、この分野における最も先進的な企業、ベルギーのUnifly(ユニフライ)社に5億円を投資。筆頭株主になると共に、徳重氏自身が役員として経営に参画することで、早々に布石を打った。

【次ページ】ドローン市場を取りたいなら、日本は"カチコチ思考"を捨てるべき
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