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- 2016/09/13 掲載
大塚家具が「リユース事業」を始めた理由とは? 大塚久美子社長が語る「家具の価値」
家具で人を「幸せ」にできるのか?
大塚家具と言えば、「高級家具の老舗」として知られ、お家騒動の後に大塚久美子氏が社長に就任してからは、「中価格帯へ方向転換」と認識されている。今の大塚家具にとって、「価格」はブランドイメージと企業イメージを左右するキーワードだ。しかし、大塚氏の口から出て来たのは意外な言葉だった。
「家具とは、『値段』の問題ではありません。『安定して使い続けて心配しないで使える』という耐久消費財としての『質』こそがその本質です。『家具』は使うものです。本来は座るためのソファの上で寝る人もいれば、食事のためのダイニングテーブルで仕事をする人もいます。実際に家具とともに生活する人が、何を、どう使うか、それをしっかり考えて『幸せな生活』を、家具を通して実現する助けになりたいのです」(大塚氏)
そして、この思想の先に、大塚家具の商品の基準がある。子供がソファでジャンプすることもあるが、それでも壊れない耐久性と安全性。また、生産過程に違法な労働がないよう徹底する倫理性。これらの基準を満たしたものを売るということが、「大塚家具のビジネス」なのだという。
「リユース事業」は「家具への愛着」をくみ取れるのか?
こういった信念のもと、ビジネスを行う大塚家具は、何をしようというのか。それが、「ソリューションカンパニーになる」ということだ。「大塚家具は、お客さまがなぜ困っているのか探し出して解決する企業でありたいと思っています。もともと、当社は桐たんす職人からたんすを買って卸売業者に売っていました。しかし、それではいろんなお客さまに買ってもらえないので、現在の家具を自ら作って売る業態になりました。そして、時代は移り変わり、いまのお客さまの新しいニーズを満たす事業を整える必要が出てきました。それこそが、『リユース事業』です」(大塚氏)
大塚家具の調査では、家具を買い替えたくてもそうできない生活者が数多くいる。買い替えられない理由は、「もったいない」「予算がない」の2つに代表される。
しかし、家族構成やライフステージが変われば、それぞれの生活に適した家具も変わってくる。「買い替えれば生活は快適になるが、お金がないしもったいない」という生活者の気持ち。ここに、大塚家具はビジネスチャンスを見たという訳だ。
【次ページ】リユースが統合する「経済的な価値」と「そうでない価値」
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