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- 2016/06/14 掲載
増税には理由がある! ライフネット 出口 治明氏が解説する「負担」と「給付」の原則
ライフネット生命 出口会長と島澤 諭氏が議論
所得税から消費税への転換は高齢社会の宿命
そもそも政府の本来的な役割は、ゴミ収集など民間ではできない公共財や公共サービス(給付)を提供するため、その財源を市民から集める(負担)ことです。給付の代表例は社会保障、負担の代表例は税金と社会保険料です。社会保険料は目的税の一種です。つまり、市民が支払った分だけ市民が恩恵を受けるので、税(負担)と社会保障(給付)の改革はひとくくりにしないといけないのです。
負担の大部分を占める税金には所得税、法人税、消費税などがあり、そのうち所得税は働く人、消費税は全市民を対象としたものなので、労働人口が多かった時代は所得税だけで十分負担をまかなうことができました。ところが働く人が少なくなった超高齢社会では、働いている人だけの負担では、やってはいけません。今後は、急速に増えつつある高齢者にも負担してもらわなければならないのです。それがヨーロッパなどの先進国で所得税から消費税への転換が進んだ根本原因です。
島澤:日本は急速に高齢化が進み、所得税を払う役目を負う労働人口も3~4割減ると予想されているので、本来なら税率を20~25%まで上げて税収確保の道を切り開かないといけません。現に高齢化が進んでいるヨーロッパでは、付加価値税(消費税)が負担の中心となっています。 ところが、日本はヨーロッパよりも高齢化が進んでいるにもかかわらず、現段階では8%でもグダグダ言っている状況です。そして10%に上げる段階で軽減税率を導入しようとする動きがありますが、本当に必要かというと相当疑問があります。
島澤:日本は軽減税率を導入しようとしていますが、ヨーロッパ諸国は、むしろ軽減税率をなくしたいとさえ思っています。実際、新たに付加価値税(消費税)を導入する国において、単一税率を採用する国は最近になるほど増えているのですから(出典は、2014年に東京で開催されたOECD Global Forum on VAT にMichael Keen 氏が提出された資料)。なぜ日本はヨーロッパの人々が厄介視している制度を導入しようとしているのか、理解に苦しみます。
【次ページ】「消費税は逆進的」とはいうけれど…
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