- 会員限定
- 2016/03/25 掲載
グーグルのクラウドは、いかにしてアマゾンやマイクロソフトを逆転しようとしているのか

大企業の導入事例を次々とアピール
なお、ライバルのアマゾン(AWS)のデータセンターは12リージョン、マイクロソフト(Azure)は22リージョンで展開しており、早期にこれを追いかけていく考えだ。
今回のイベントで特に関係者を驚かせたのは、アマゾン(AWS)最大の顧客であるNetflix(ネットフリックス)が登壇したこと。ネットフリックスは、2月に動画ストリーミングサービス関連のシステムをAWSに移行したばかりだが、Google Cloud Platformのユーザーでもあることをアピールした。
さらにグーグルは、ディズニー傘下のDisney Consumer Products and Interactive Media(DCPI)、コカ・コーラといった大企業が同社の新たな顧客になったことを宣言。数ヶ月前には、音楽ストリーミングのSpotify(スポティファイ)やアップルでも一部導入が進んでいるとされたほか、小売業として全米4位のホーム・デポが利用を開始したと報じられている。
機能面でも企業向けを意識
イベントでは機能の面でも、エンタープライズを意識した内容になった。オープンソース化したマシンラーニングソフト「TensorFlow」ベースの「Cloud Machine Learning」や、アプリなどに80か国以上の言語について音声認識機能を付与できる「Cloud Speech API」などをプレビュー版としてローンチ。目新しい機能だけでなく、SDN(NFV)ベースのネットワーク仮想化基盤「Google Cloud Router(旧Andromeda)」、クラウド型のCDNサービス「Google Cloud CDN」を改めて発表。エンジニアにとって“退屈な”作業になることも多い、監査ログ管理、ID・アクセス管理(IAM)機能などを統合した「Google Stackdriver」が追加されたほか、ストレージ向けセキュリティ機能も強化されている。
ただし、これらの機能はすでにアマゾンやマイクロソフトも取り組んでいること。どこで差別化を図るのかというときに、グリーン氏やシュミット氏らが至った結論は「自動化」だ。グーグルのデータセンターやクラウドサービスは、WebスケールITと呼ばれ、ずば抜けて電力効率が高いことで知られている(PUEは1.07、なお理論上1を下回ることはない)。これをさらに進めて、アプリケーションエンジニアがインフラを一切気にしなくてもよい環境を作り出すという。グリーン氏はこれを「It magically happens.(魔法のように起こる)」と表現している。

【次ページ】グーグルはどの市場を奪っていくのか
関連コンテンツ
PR
PR
PR