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- 2024/03/13 掲載
「基幹クラウド化7割」の衝撃、地銀にとって重要度が増す「あの存在」
地域金融機関が目指すべきは「DBX化」
本連載でこれまでみてきたように、ネオバンクやチャレンジャー・バンクなどの新たなスタイルの事業者が登場し、金融市場をけん引している。この流れに対抗するため、自らデジタルバンクへの移行を目指す既存の伝統的金融機関も少なくない。小俣氏は、こうした「デジタルバンキング」への移行のことを「デジタルバンキング・トランスフォーメーション」(DBX)とも表現する。
これまで多くの金融機関がベンダーの提供するシステムやソフトウェアをカスタマイズして独自のニーズに合わせてきた結果、システムやソフトウェアをベンダーやSIerに強く依存することで、他のベンダーに切り替える際に困難さが生じる「ベンダーロックイン」も発生してきた。
デジタルバンクへと変革するためには、クラウド環境上でAPI接続可能なオープンなシステム化を目指すことが前提となる。
アジャイルな開発を考えれば少なくともコア・ビジネス部分だけは自前のシステム開発体制が望まれるが、脱ベンダーロックイン、オープン化はどのように変遷してきているのだろうか。
小俣氏は2017年時点での地方銀行(第二地銀を含む)におけるハードウェアベンダーの採用率を紹介した。それによると、地銀・第二地銀ともに日立製作所の採用率が高いという。既存の金融機関システムの特徴である「ホストコンピューター+専用線」のシステム構造は、各ホストベンダー内でシェアが分かれていた。
また、システム・インテグレーション(SI)領域では、NTTデータが地銀・第二地銀ともに高いシェアを占めていた(冒頭の図参照)。
その後、金融機関のクラウド基盤の採用が進んでいく。小俣氏によると「日本の動向は、先進的な動きを見せる国と比べて3~4年ほど遅れているとも指摘されている」という。
2020年9月末の海外・日本国内におけるクラウド採用事例を比較してみると、採用率には差が出ていた。
「AWS(Amazon Web Services)やGCP(Google Cloud Platform)、Azure(Microsoft Azure)などパブリッククラウドの採用は、オープンシステム化する中で、新たな技術を使って展開してきています。その理由は、いわゆるWeb、インターネットの世界が段階的に展開されつつあるという意識の流れで広がっていると捉えられます」(小俣氏)
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