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- 2024/04/11 掲載
AWSなどクラウド「3強」時代はもう終わり?ガートナーが予想する2030年の未来
前編はこちら(※この記事は後編です)
2024年に注目すべきトレンドとは
サービス誕生から約20年を迎えるクラウド・コンピューティングだが、現在はどんなトレンドが注目されているのだろうか。2024年のクラウド・トレンドとして「次世代サービス・ファクトリ」を挙げるのは、ガートナー ジャパン ディスティングイッシュトバイスプレジデント、アナリストの亦賀忠明氏だ。
サービス・ファクトリとは、クラウド・ネイティブを中心とする多様な技術や方法論を包括し、アプリケーションやインフラをサービスとして提供する、いわゆる「サービス・デリバリ」フレームワークを指す。
具体的にはクラウド・ネイティブ、DevOps、継続的インテグレーション/継続的デリバリ(CI/CD)」、「コードとしてのインフラストラクチャー(IaC)」、「サイト・リライアビリティ・エンジニアリング(SRE)」、「可観測性」などが含まれる。
亦賀氏は「CI/CDの仕組みなどさまざまなサービスが誕生しており、調べすぎると沼にはまってしまいます。クラウド・ファーストとはスキル・ファーストであり、すべてのツールが必要ではないことを理解するべきです」と説明する。
「生成AI」とクラウドの関係
ChatGPTなどのクラウドとして提供される生成AIサービスが急速に拡大している現在、サービス・ファクトリの主戦場は生成AIに移行している。たとえば、エヌビディアが2022年11月にマイクロソフトと共同でAzureにおける大規模AIスーパーコンピューターの開発を発表したり、AWSも「AWS Trainium」を開発するなど、LLM(大規模言語モデル)開発用途での新たなコンピューティング競争が始まっている。
加えて、自社データへ生成AI機能を組み込んだり、外部ソースから取得した情報を用いて生成AIモデルの精度と信頼性を向上させる「RAG(Retrieval Augmented Generation)」なども台頭。自律エージェントが会話を始めて共同で「人」にサービスを提供する動きも見られる。
亦賀氏は、生成AIをめぐる競争が今後分散クラウドへと向かうとの見解を示した上で、まだ実験的ではあるものの、IaCコード生成の自動化が2025年には当たり前になっている可能性があると予測する。すでにデジタル庁が、2023年6月からガバメント・クラウドの実証実験として、「Azure OpenAI Studio」を活用したIaCによるテンプレート開発に取り組んでいる動きもあるという。
こうした状況に対応するためには、従来のIT戦略を転換するスタイル・チェンジが必要になる。亦賀氏は、そうした変革を実現する上で重要になるのはインフラエンジニアであり、インフラ周りを事業者に任せるというクラウドの捉え方をアップデートする必要があると強調する。
「クラウドに移行すると、インフラ周りは全部クラウド事業者に任せてアプリケーションだけをやればいいと勘違いしている人もいるが、決してそんなわけではありません。アプリ開発者はビジネスロジックやロジック/UIにフォーカスしますが、クラウド全体のガバナンスやセキュリティ、パイプラインを考えるのは、インフラエンジニアの職務です。人材戦略として注力する必要があります」(亦賀氏) 【次ページ】 AWSなど「クラウド3強」に迫る「ある企業」
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