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企業のデジタル化への取り組みの強化、SaaS(Software as a Service)の導入促進によって、世界のクラウド市場は拡大傾向が続いています。この記事では、ドイツの市場調査会社IoT Analytics(IoTアナリティクス)社の市場調査レポート「
クラウドプロジェクトの世界市場(2023年) 」から、AWS、マイクロソフト、グーグル、オラクル、アリババの主要ベンダー5社が提供する7000件の顧客導入事例を分析し、主要5社の市場における位置付けと洞察、および世界のクラウド市場について紹介します。
主要ベンダー5社のクラウド市場シェア
IoTアナリティクス社の市場モデルによると、パブリッククラウドへの支出は2020年の1,090億米ドル(約16兆円)から2022年には2,060億米ドル(約30兆円)へとほぼ倍増(89%増)しています。
また、マクロ経済環境の減速により、クラウドの成長率は2021年の40%超の水準から低下したものの、2023年第1四半期も、ほぼすべての主要クラウドが引き続き前年比2桁の成長を達成しています。
AWSは前年比16%増、マイクロソフトのAzureは同27%増、Google Cloudは同28%増、オラクルのクラウドサービスは同54%増となっており、アリババのクラウド部門のみが減少しました。
クラウドへの移行はいまだ進行中の段階で、クラウドの近代化は初期段階にあります。加えて、AIの発展も兆しが見えていることから、クラウド市場は今後数年間に1兆ドル規模のビジネスに拡大する可能性を秘めています。
クラウド(およびIoTクラウド)市場に関する継続的な報道の一環として、IoTアナリティクス社ではAWS、マイクロソフト、グーグル、オラクル、アリババの主要5社のクラウドベンダーが提供する、7000件のパブリッククラウドプロジェクトのデータベースを公開し、それに基づいて情報を分析しています(「
クラウドプロジェクトの世界市場(2023年) 」参照)。
データベースには、各クラウドベンダーが2023年5月までに発表したパブリックカスタマーストーリーがすべて含まれているため、このクラウドプロジェクトデータは、主要ベンダー5社のビジネスフットプリントに関する結論を導き出すのに十分典型的なデータであると言えるでしょう。
以下は、2023年第1四半期のパブリッククラウドの市場シェア(IoTアナリティクス社独自のモデルによる)を、同社データベースのパブリックカスタマーレファレンスのシェアと比較したものです(表1)。
表を見ると、多くの企業は市場シェアとプロジェクトシェアに差がないことがわかります。しかし、グーグルは例外的で、市場シェアが9%であるのに対して、プロジェクトシェアは22%となっています。
このギャップは、Google Cloudのパブリックカスタマーストーリーにおける68%の収益フットプリントが比較的低い傾向のある中小企業(従業員1000人未満)であることが関係している可能性があります。
これらのデータは、これらの企業の顧客フットプリントが業種、地域、顧客規模によってどのように異なるかを示す、包括的なスナップショットを提供し、各分野における主要な顧客をも明らかにしています。
ベンダー別に見るクラウドプロジェクト
グローバルクラウドプロジェクト7000件のデータベースは、AWS、マイクロソフト、グーグル、オラクル、アリババの5社の大手クラウドベンダーが、それぞれのクラウド成功事例Webサイトに掲載している、すべてのクラウドカスタマーストーリーを集計したものです。
このリストに掲載されているプロジェクトはすべて公開情報であり、2023年5月時点で各ベンダーのWebサイトで公開されています。
プロジェクトに含まれるには、少なくとも1つのパブリッククラウドとしてのInfrastructure as a Service(IaaS)またはクラウドサービスとしてのPlatform as a Service(PaaS)がプロジェクトに含まれている必要があります。純粋なSaaS顧客のプロジェクトは除外されています。
IoTアナリティクス社では、この結果について、5社すべてのベンダーにコメントを求める機会を設けました。
【次ページ】主要ベンダー5社のクラウド成功事例
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