複数のクラウドサービスを利用するのが当たり前になり、既存のオンプレシステムもある中で、各システムの管理の複雑化やデータ連携の不便さといった問題が山積しています。そこで注目を浴びているのが、企業の各種システム/データを統合的に連携できるiPaaS(integration Platform as a Service)です。今回はアイ・ティ・アール(ITR)のシニア・アナリストである水野 慎也氏監修の下、iPaaSの基本知識やPaaS・SaaSなどとの違い、求められる背景を解説します。併せて、セールスフォースやセゾン情報システムズ、インフォマティカといった代表的なベンダー・ツールと製品選定のポイントについても紹介します。
iPaaS(integration Platform as a Service)とは、クラウドサービスやオンプレミスで利用する複数のシステムおよびアプリケーションにおいて、統合的にシステム連携やデータ連携を可能にするプラットフォームサービスです。ITRの定義では、システム間でデータ連携を行い、前後のプロセスを統合的に管理する製品を、iPaaSの範囲であるとしています。
「iPaaSはAPIベースの統合だけでなく、従来型のシステム連携(EAI〈Enterprise Application Integration〉、ESB〈Enterprise Service Bus〉、データベース連携、ファイル連携など)を兼ね備えます。また、多様なコネクタを備え、製品・サービスによってはローコード/ノーコード型の開発ツールや、ビジネスモデル設計支援、プロセス自動化、イベント駆動などの機能も備えているところが特徴です」(水野氏)