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- 2014/07/11 掲載
「人」に備わるブランドは、組織における活動のなかで副次的に発生する
【IT×ブランド戦略(25)】
「東工大=オタク」、「慶応大=シティボーイ」というイメージ
まずは、商品の購入や販売という視点でブランドの特徴を考えてみる。この場合、「ブランド消費では、購入者は、それを購入したことによって得られるものについて、その将来の姿がイメージとして共有されているので、“買おう”という意思決定が極めて簡単になる」ということになる。
これは、人材に関するブランドにおいても同様に言い換えることができる。
すなわち、「ブランドが付与された人材は、その性向や能力について、他の人々からあらかじめ一定のイメージを持たれており、それを前提としたコミュニケーションを行う」ということだ。
「大学名」というものはそのような事例の宝庫でもあって、例えば東工大といえば「オタク」、慶応大は「シティボーイ」といったイメージが広く浸透している。
ある程度の人生経験を持った人であれば、実際にはその枠にはまらない人が一定数いるということは当たり前のことではあるが、それでもやはり、ブランドイメージから外れる人に出会った際は「東工大のわりに○○」「慶応生なのに□□」といった感想が先に立つ。これは極めて強い社会的な力である。
冷静に考えれば、「東工大=オタク」といった考え方を直接担保する実体的なものはどこにも存在しない。「オタクとかそういうことは関係なく、自分が学びたいことがあの大学にあるから目指すのだ」と考えて受験をする人も多いだろう。
しかし、「自分はオタク的な資質が強いからこそ、東工大がぴったりしている」と考えてこの大学を目指す人も一定数存在するし、「東工大に入学したからにはそれに見合う立派なオタクでありたい」と思う人もいる。そのなかで飛び抜けて象徴的な人格を持つ人が出現するのは当然の成り行きというものだが、そうした人が今日もどこかで「東工大=オタク」伝説を生み出し、外部の人に「やはり・・・」という感想をもたらしている。
別に東工大は組織的にオタク的人々を養成することを目的としているわけではない。しかし、現実として、上記のような構造は連綿として機能している。なんとなく、社会学用語の「再帰性」という言葉を連想する現象である。
【次ページ】呼称に実体的な価値があるか?という「美味しんぼ的葛藤」
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