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- 2014/03/11 掲載
結婚相談に就職活動──情報化社会における「マッチングサービス」にブランドは宿るか
【IT×ブランド戦略(21)】
もしあなたが結婚相手を探すならば
例えば、結婚相手を探している男性がいたとする。彼には結婚相手に対して求める条件があるが、その条件に該当する人を完全に自力で探すというのは難しい。ほとんどの場合、求める条件に完全に合致する人は見つからない。時間をかけただけ、理想に近い相手に出会える可能性は高まるとはいえ、人生の時間は有限だ。
そこで彼は、この「結婚相手の探索」という行動を、自分の親兄弟、友人同僚といった人々がリーチできる範囲で行うか、それを専門とする企業や組織、人に依頼するのである。たとえば、結婚する男女の仲を取り持つことに極めて積極性の高い、コミュニティの中心人物、いわゆる「町の仲人おばちゃん」や、もっと言ってしまえば結婚紹介所に相談する。彼らは結婚意向を持つ相手先の情報を大量に把握しているため、探索範囲が飛躍的に増大する、というわけだ。
ちなみに結婚紹介という仕事自体は、実は江戸時代の昔からあったらしい。「肝煎所」と呼ばれ、町人から武士まで幅広く利用しており、茶屋や芝居小屋で男女のお見合いの場をセッティングしていたそうだ。
情報化社会の象徴的ビジネス「マッチングサービス」
ではなぜ「マッチング」が現代の情報化社会の象徴なのかといえば、言うまでもなく、江戸時代と現代では、情報の処理能力が全く違うということだ。印刷技術、通信技術、広告技術、あらゆる面で技術革新が進んだ結果、今日では、非常に高い効率で相手先の情報にリーチすることが可能となっている。これは単純な話だ。ある程度の数の適齢期の男女の結婚に関するニーズ、つまり容姿や年収、職業、ライフスタイル、趣味嗜好等、ありとあらゆる要望を調査して、条件を突合させてカップル候補をはじき出す、という計算を、紙とペンだけでやろうとするか、計算機を活用するか、全く効率が異なるのは明らかだ。
通信技術と情報技術を組み合わせて、機械的に情報を流通させるという手法をとるということは、手作業とは全く違う規模、次元のサービスが成立することを意味する。現に数多くの巨大な企業がこれをビジネスにしている。
これは、「物に加工を行なって付加価値をつけ、それを市場で販売することで利潤を得る」という古典的、典型的な経済学の概念とはかけ離れた業態である。マッチングにおいては、ただ情報を集めて、契約主体同士を引き合わせるだけなので、付加価値は生み出さない。
にもかかわらず、対価が発生し、利潤が生まれる。考えてみると不思議な話であるが、情報化社会という言葉を「情報がすなわち価値となる社会」と理解したならば、マッチングという業態はまさしくそれを体現している業態だと言える。
【次ページ】「リクナビ」が実現した偉業とは
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