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  • 2014/07/03 掲載

IoTをめぐるベンダー動向と活用例、システムアーキテクチャの課題、2つの成長シナリオ

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IoT(Internet of Things:モノのインターネット)という言葉が登場したのは1999年。しかし当時はまだIoTを実現するための技術が追い付いておらず、IoTが再び世間の耳目に触れるようになってきたのが2011年。それから3年が経った現在、ようやく実用的な事例が見られるようになってきた。野村総合研究所の武居輝好氏は「企業もそろそろIoTを真剣に考えていい時期ではないか」と指摘するとともに、今後企業がIoTを活用してビジネスを拡大していくための2つの方向性を指し示した。

IoTを実現したのはデバイスの小型化とネットワークの多様化

 ITロードマップセミナー SPRING 2014で登壇したNRI 基盤ソリューション企画部 主任研究員の武居氏は、はじめにIoTの定義について整理した。

「IoTは、“モノがネットワークに接続されることで価値あるサービスを生み出すための考え方”。一方、IoTと混同されがちなM2M(Machine to Machine)は、モノとモノとの間に人が介在しない、つまりモノからデータを収集して、それをマシンで処理し、そのままモノにフィードバックする場合に限定される。IoTは、モノからデータを収集して人が活用してもいいし、逆に人が入力したデータを利用してモノを操作をする場合も含まれる」

 そして今、IoTに注目が集まっている。その背景にあるのは、デバイスの小型化とネットワークの多様化だ。前者については、プロセッサやセンサ、通信モジュールの小型化が急速に進み、さらにコストも安くなってきている。また後者について、最近ではBluetooth Low Energy(BLE)や3G/LTE、Wi-Fiなど安定して利用できる多様なネットワークが存在する。

 たとえば最近では、センサ/プロセッサ/通信モジュールを格納し、涙に含まれるグルコースの量を測定することで糖尿病のステイタスを監視するコンタクトレンズ型デバイスやネットワーク歯ブラシ「Kolibree」なども登場してきている。

米シスコは、2020年に約500億のモノがネットワーク化されると予測している。こうした状態になると、ネットワーク上には膨大なトラフィックが溢れ、それらが生み出すビジネスへの期待が高まってくる。そうした期待から、既に多くのIT企業がこの分野に参入している」

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(出典:野村総合研究所,2014)


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 主要なベンダーでは、マイクロソフトは「Build 2014」で「Windows for IoT」の無償化を発表したり、Microsoft Azure Intelligent Systems Serviceをパブリックベータを公開している。

 また現在では、IETE(The Institution of Electronics and Telecommunication Engineers)や3GPP(Third Generation Partnership Project)、ITU(International Telecommunication Union)などの標準化団体のほか、民間企業によるIoTのイニシアティブを巡る動きも活発化してきているという。

「2012年頃から、さまざまな民間企業が、IoTに関するアライアンスやコンソーシアムの設立に乗り出している。自社のテクノロジーやノウハウを共通仕様化することで、IoTの分野でイニシアティブを取ることが狙いだ。たとえば、クアルコムやLG、シャープ、パナソニック、シスコなどが加盟するAllSeen Allianceは、クアルコムが自社開発したデバイス間P2P通信技術のAlljoynというフレームワークを普及させることを目的に設立された。またAT&Tやシスコ、GE、IBM、インテルなどが所属するIndustrial Internet Consortiumは、各社が蓄積した事例を基に、機器間での互換性を保つための共通アーキテクチャの策定を目指している」

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(出典:野村総合研究所,2014)




【次ページ】3つに類型化されるIoTの活用事例
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