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- 2024/09/21 掲載
3位転落 小泉進次郎の「誤算」、自民党総裁選の終盤情勢は?「高市総理」誕生なるか
連載:小倉健一の最新ビジネストレンド
「人気急落」支持集めの厳しい現実
小泉進次郎氏は、これまで国政選挙のたびに多くの聴衆を集めてきたが、今回の総裁選において、9人の候補者による討論では、その存在感が薄れていた。しかし、9月18日に大阪で行われた演説では、「初めて進次郎の良さが出た」と自民党関係者は語る。進次郎氏は、調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の使途公開や、ライドシェアの全面解禁を目指す方針を示し、「『維新といえば改革』というイメージを、『改革といえば自民』に変えることが次期総理・総裁の責務であり、私がその立場に立てば、圧倒的なスピードで変革を進める」と自信を持って語りかけたという。
大阪における自民党の現状は、維新の躍進により勢力が大きく後退し、非常に厳しいものがある。このような状況下で、イノベーションを無視する現状維持路線の姿勢や旧来のバラマキ政治が党内で主流となっていることに対して、進次郎氏は強い危機感を抱いていた。
そのため、「改革派」としての自分こそが維新に対抗できる人物であるという強い自負が、今回の総裁選への立候補の原動力となっていたのである。
総裁選の序盤においては、進次郎氏が確実に1位か2位に食い込むと予想され、決選投票では勝利を収めるだろうと思われていた。しかし、自民党支持層に対して行われた「次の自民党総裁にふさわしい候補」を問う各種調査結果の現状をまとめると、以下のとおりである。
●共同通信(9月15~16日)
2位 石破茂氏 23.7%
3位 小泉進次郎氏 19.9%
2位 小泉進次郎氏 24%
3位 高市早苗氏 17%
2位 高市早苗氏 25%
3位 小泉進次郎氏 24.1%
2位 石破茂氏 24.1%
3位 高市早苗氏 16.3%
2位 高市早苗氏 22%
3位 小泉進次郎氏 21%
どうなる? 総選挙のカギを握る「国会議員票」
この調査結果をどう評価すべきかについて、大手全国紙の記者はNHKの情勢調査を基に次のように語っている。「NHKもまだ公にはしていないが、大規模な自民党員調査を実施しており、その結果では石破茂氏と高市早苗氏が強い支持を集めている。地方の党員票では進次郎氏は3位にとどまりそうだ。ただ、問題は国会議員票の行方である。進次郎氏の後見人である菅義偉前首相や森喜朗元首相が積極的に動き、国会議員の支持を集めた結果、進次郎氏は約50名の国会議員票を確保している。ほかにも、小林鷹之氏や茂木敏充氏が票を伸ばしたものの、石破氏や高市氏の国会議員票の増加は鈍い状況だ。しかし、進次郎陣営としては、1回目の投票で少なくとも70~80票を獲得する目標を掲げていた。その目標に達していないため、特にネット上での批判が高まる中、進次郎陣営の焦りは相当なものだ」現在、多くの自民党議員がいまだ態度を決めかねているとされている。自民党総裁選は無記名投票で行われるため、誰が誰に票を投じたかは最終的には明確にはわからない仕組みだ。
差し迫った衆議院選挙を考慮すると、どの候補が総裁になれば自分の選挙で勝利できるかが最大の焦点となる。選挙に弱い選挙区が地盤の衆議院議員たちは、最後の一瞬まで慎重に候補を見極めることになるだろう。 【次ページ】「改革派の進次郎」の大いなる誤算
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