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自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる「裏金問題」を受けて、自民党は安倍派や二階派の関係議員などに行った聴き取りの結果を公表した。議員への還付の総額は、おととしまでの5年間で5億7,949万円にのぼったという。追及を受けた自民党議員たちは口をそろえて「私が直接裏金に関与したわけではない」、そして「政治にお金がかかる」と必至の弁明をしている。一体何にそんなにお金がかかるのだろうか?
なぜ? 政治に“お金がかかる”と主張する理由
「裏金問題」に直接の関与があったかどうかは、捜査当局に委ねるしかない部分があるが、どうして「そんなに政治にお金がかかるのか」という点については、きちんと整理して答えを出さねばならないだろう。
結論からいえば、政治にお金がかかるのではなく、自己PRにお金がかかっているだけだ。
たとえば、自民党都連会長、郵政大臣などの要職を歴任してきた深谷隆司元衆議院議員は、以下のように述べている。
「現役国会議員には公設秘書が三人付く。しかし、広い選挙区で政治活動をするには三人ではとても足りず、最低でも四~五人の私設秘書が必要で、その手当、人件費がかかる。/選挙区には当然事務所を開き、場所によっては数カ所必要なところもある。これらの維持経費は馬鹿になりません。/後援会活動に要する費用も大きく、仮に政治用パンフレットを作りこれを発送するとなると印刷費、郵送代と大変な費用がかかります。数万枚のパンフレットを年数回出さなければ主張を徹底して伝えることができないのだから、大変なのです」
(月刊Hanada・4月号)
前自民党政調会長の萩生田光一氏もお金がかかる理由を説明している。
「たとえば、今回(裏金問題)の件で後援会の人たちにお詫び状を出したいんですが、私の得票数は10万票以上ですから、1回手紙を出すだけで1,000万円近くかかってしまう。冠婚葬祭については、これはポケットマネーで、人間関係の中でやっていることなので、それを負担だというふうにはあまり思いません。ただ、たとえば、普通は講演すれば講演料を貰えますが、我々は逆にお祝い金を持っていかないといけません」
(月刊文藝春秋電子版・2月5日)
ほかにも、多くの現役・OBの国会議員が、いかにお金がかかるかをアピールしているが、似たようなところだ。
これらの共通項は何かといえば、これらはすべて、自分の影響力を高める、もしくは、自分のPRのための出費ということになる。企業でいえば、交際費であり、広告費に当たる出費だ。その経費がかかってしょうがないと、泣き言を言っているのである。
あくまで「泣き言」高すぎる国会議員の年収
「泣き言」と断じる理由は、日本の国会議員の厚遇ぶりである。
税理士ドットコム(11月21日)によれば、基本給で年1,552万8,000円(月額129万4,000円)、期末手当(賞与)が年約620万円、調査研究広報滞在費年1,200万円(月額100万円)、立法事務費年780万円(月額65万円)だ。
国会議員の年収は非課税の手当を含めて4,000万円を超え、日本人の平均年収(414万円・doda調べ)のおよそ10倍の収入があることになる。
さらに「政治にはお金がかかる」と主張する部分は、PR費用であり、税金が対立候補との競い合いに消費されていくことになる。ライバルを出し抜くための費用に使われるのであれば、いくら政治家に渡したところで、ライバル同士が投入する予算を増やすだけであり、逆に減らすだけ減らしたところで、国家運営にはまったく問題がないということになる。
給料も1,000万円もあれば十分だろう。岸田政権が「子育て支援」でお手本にするスウェーデンの国会議員は年収1,000万円程度だ。
コメンテーターの橋下徹氏などは調査研究広報滞在費の領収書添付を強く主張するが、そもそも政治家には不要な給付だ。無くしたところで、政治家の配るビラが少し減るぐらいの影響しかない。
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