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- 2024/01/24 掲載
派閥解消は「まったく無意味」、岸田首相が“無関係の”岸田派解散決断が示すものとは
連載:小倉健一の最新ビジネストレンド
“故意ではない”自民党の裏金問題
多額の裏金が明るみになり、国会、自民党のある永田町が揺れている。岸田文雄首相は、自らの出身派閥「宏池会」(岸田派)の解散を決断し、安倍派の所属議員が逮捕、会計責任者が在宅起訴をされている。二階派においても派閥の元会計責任者と二階氏の秘書が政治資金規正法違反の疑いで立件(略式起訴)された。
岸田派においても、2020年までの3年間で、約3,000万円の資金の不記載があり、東京地検特捜部は、岸田派の元会計責任者を略式起訴される見込みだ。
岸田首相は、岸田派における不透明な政治資金の不記載について「今日、宏池会が収支報告の記載漏れなどについて、総務省に修正の申し出を行うと報告を受けている。内容は事務処理上の疎漏だと承知しているが、私自身、在任中から今日までそれ以上のことは承知していない。事務的なミスの積み重ねだと報告を受けている」として「事務的なミスの積み重ね」「(私は)承知していない」という説明をしている。
故意ではないということを強調し、自分の責任を回避した弁明であることは明白だろう。民間で同程度の額の収入を申告しないとたとえばこんな顛末となる。
「2018年、乗馬クラブの運営会社が2014年~2016年の2年間にわたって確定申告せずに脱税したことに対して有罪判決が下されました。この所得隠しにより、消費税と地方消費税を合計2,673万円脱税したことがわかっています。東京国税庁が告発し、千葉地検特別刑事部が運営会社の代表を逮捕しました」岸田首相は、自らが派閥の代表を務めていた期間で、「事務的なミスの積み重ね」が約3,000万円行われていた。しかし、この件について、まともな取り調べすらなされないようだ。改めて政治家とは「特権階級」なのだろう。検察も税金で運営されているという認識を強く持ち、きちんと捜査を行うべきだ。
(サン共同税理士法人グループ 税務調査・2022年10月21日)
裏金問題で国民が唯一得た教訓とは
政治とお金の問題については、大きな不祥事が起きるたびに、再発防止が叫ばれ、法律が改正されてきたが、一向に収まる気配がない。今回、派閥の解消が「解決法」のような扱われ方をしているが本当だろうか。派閥解消に意味があるとは考えにくいのは、以下の岸田首相の振る舞いだ。
たった一か月ほど前の話だが、岸田首相は、昨年12月7日、岸田派「宏池会」の会長を退くとともに、首相と自民党総裁を務めている間は、派閥からも離脱する意向を表明している。現在、岸田派の会長の座は「空席」となっており、岸田首相は岸田派を離脱しており、「出身派閥」であるものの「所属派閥」ではない。
しかし、派閥から離脱した岸田首相は、派閥の解散を「決断」しており、実態上は「派閥のリーダー」にまだいるということになる。派閥の会長でもなく、派閥を離脱したはずの人物が、実態的には「派閥の領袖(ドン)」となっているのは、安倍派も同じだった。本人たちがいくら否定しようとも、安倍晋三元首相暗殺後、安倍派の意思決定を行っていたのは森喜朗元首相である。
自分の立場が危ういと息を吐くように嘘をつくというのが、政治家ということがわかった。それが今回の裏金問題の唯一国民が得たことであろう。あまりに高い授業料だった。 【次ページ】政治腐敗防止に求められる「3つの改革」
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