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- 2023/04/20 掲載
「既存スーパーの売上4倍」からさらに進化、フーマフレッシュが見つけた“次の金脈”
ジャック・マー氏がした“EC死亡宣告”、現実解として誕生
アリババの新小売スーパー「盒馬鮮生」(フーマフレッシュ)が第2の成長期を迎えようとしている。新小売(ニューリテール)とはオフラインとオンラインを融合した新たな小売業態のことで、アリババの創業者、馬雲(マー・ユイン、ジャック・マー)氏によって提唱された概念。そして、「オフライン小売とオンライン小売は深く融合して新小売となり、すべての小売業は新小売になる」という未来予測を披露し、同年、新小売の現実解として、フーマフレッシュの事業をスタートさせた。
フーマフレッシュは生鮮食料品を販売しているスーパーだが、注文方法は「スマホ」と「店頭」の2種類、商品受け取りは「30分宅配」と「店頭受け取り」の2種類で、2×2パターンの購入体験を消費者の都合に合わせて自由に組み合わせることができる。購入体験の革新を目指したアリババの新事業だ。
創業以来変わらない、アリババのEC依存
中国の労働人口は2014年をピークに減少し始め、ネット利用者、EC利用者ともに天井を打ち始めていた。新小売は、ECビジネスに依存しているアリババの体質を転換するための、ジャック・マー氏の重要戦略の1つだった。その成果は十分に出ていると言える。アリババのECである「淘宝網」(タオバオ)、「天猫」(Tmall)は、中国の年間最大のECセール「独身の日」でGMV(流通総額)が5,403億元(約10.29兆円、2021年の数字。2022年以降は非公開)などという想像を絶する数字になるが、それがそのままアリババの収入になるわけではない。アリババはあくまでもEC仲介業であるため、手数料や広告収入がアリババの収入となるだけだ。
このような収入は、アリババの財務報告書ではCustomer Management(顧客管理費)に分類される。一方、フーマフレッシュを中心とするビジネスはDirect Sales(直接小売)に分類されている。この2つの収入を比較すると、すでに同程度の収入になっており、新小売がアリババを支えるコア事業の1つに育っていることが分かる。
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