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- 2017/03/28 掲載
Numecent 創業者に聞くVDIの最新動向、AWSやAzureにロックされない方法とは(2/2)
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Android版もリリースされてChromebookにも対応
Windows版が先行していたクラウドページングだが、今回、Android版もリリースされた。それが「Cloudpaging for Android」だ。文字どおり、Androidのアプリやゲームをクラウドから配信する技術だ。端末容量の小さいAndroidデバイスでも、大きいアプリケーションを効率的に動作させることができる。また、その延長としてChromebookにも対応した。「たとえば、Chrome OSの上にWindowsをのせて、その上でアプリケーションを動かせます。わずか16GBのSSDを搭載したChromebookで、Windows 7とOffice 2016が快適に動作します」(ヒトミ氏)
米国ではChromebookは大学などを中心に広く普及している。「Cloudpaging for Android」は、日本でのChromebookの普及に貢献する可能性もあるだろう。ただし、クラウドページングが対応プラットフォームを増やした意義は、もっと大きい。
「米国では、クラウドにアプリケーションを置いて、さまざまな端末から利用するのがトレンドです。さらに、複数のクラウドサービス間を自由に移行したいというニーズも高まっています。クラウドページングの対応プラットフォームが増えると、こうしたニーズにも容易に対応できます」(ヒトミ氏)
クラウドを自由に行き来したいというニーズは、VDIにおいても高まっている。そこでも、クラウドページングは有効だ。
「ある企業は、オンプレミスのVDIサーバを設置し、社員はそのサーバにアクセスしてアプリケーションを利用しています。一方、オンプレミスのVDIサーバには、AWSやAzureなどのパブリッククラウドからクラウドページングを使ってアプリケーションを配信することで、ユーザーの利便性を確保しつつ、必要があればいつでもクラウドを切り替えられる環境を構築しようとしています」(ヒトミ氏)
混在環境で効率的なアプリケーションデリバリーを実現
国内でクラウドページングを提供するのはVDIベンダーとして知られるアセンテックだ。取り扱いを開始して約1年が経過したが、日本での状況について、アセンテック 取締役副社長 松浦崇 氏は次のように説明する。「日本においては、アプリケーションデリバリーの認知度がまだ十分とは言えないと感じます。その理由の1つが、日本はWindowsプラットフォームが圧倒的に強いことです。しかし、今後、新しいVDIの使い方が登場したり、IoTがさらに普及したりすると、プラットフォームは確実に拡大、複雑化します。同時に、アプリケーションの実行に求められる要求もよりシビアになるため、アプリケーションデリバリーへの関心も高まると思います」(松浦氏)

取締役副社長
松浦 崇 氏
日本においては、働き方改革との関係性において、リモートワークを実現できるVDIが注目される傾向も強い。たとえば最近も、トヨタ自動車や富士通などの大手企業が、在宅勤務をはじめとする新しい働き方を推進することが話題になった。こうした動きも、クラウドページングには追い風になるだろう。
さらに、アプリケーションデリバリーが必要とされる日本特有の事情もあると、松浦氏は次のように説明する。
「古いInternet Explorerを、いまだにこれだけ使っている国は他にはありません。それだけ、古いIEを必要とするアプリケーションが多いのです。同様に、OSやアプリケーションのバージョンアップに対して、日本は非常に慎重です。一方、プラットフォームはどんどん進化していますから、結果的に新旧含めたさまざまなプラットフォーム、アプリケーションが混在することになります。このため、アプリケーションを適切に管理・配信できるクラウドページングへのニーズも、必然的に高まると考えています」(松浦氏)
クラウドの登場以降、ITリソースはクライアントからクラウドに移行・集約されていった。しかし、IoTの時代を迎えて、再びクライアント側に新たな役割が求められつつある。クラウドページングは、こうした時代の変化を象徴する技術といえそうだ。
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