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5月8日、仮想デスクトップの専業ベンダーとして知られるアセンテックは、リモートPCソリューション GoToMyPC の販売を開始した。GoToMyPCは、米シトリックスが提供するクラウド型のソリューションで、ワールドワイドで73%のシェアを誇るデファクトスタンダードだ。iPhone/iPad、Android、Windows 8などのデバイスから社内のWindowsやMacintoshにアクセスし、そのデスクトップを操作できる。なぜ、いま、日本でのリリースにいたったのか。製品の特徴も合わせて、米シトリックスのバイスプレジデントであるマイク ムッソン氏とアセンテックの代表取締役社長 佐藤直浩氏に話を聞いた。
モバイルの活用とクラウドは世界のトレンド
――リモートPC市場の最新動向についてお聞かせください。
【マイク ムッソン氏(以下、ムッソン氏)】
BYODによってモバイルデバイスが仕事環境に入ってきた結果、モバイルデバイスを使って、必要なときにどこからでも会社のリソースにアクセスしたいというニーズが、企業の大小を問わず爆発的に立ち上がってきているのが、日本も含めたグローバルのトレンドだと思います。GoToMyPCは、モバイルデバイスによるリモートアクセスを提供するソリューションですので、まさにこのトレンドに合致していると思います。
もう1つのトレンドがクラウドです。自然災害等で交通機関等のインフラが損害を受けると、企業は事業継続が困難になります。そこで、グローバルでデータセンターのネットワークを持つベンダーのクラウドサービスを利用し、安全を確保することに注目が集まっています。特に日本では、東日本大震災以降、その傾向が強まったと思います。
シトリックスは、香港、アメリカ、ヨーロッパ、東京など、グローバルで11拠点のデータセンターのネットワークを利用してGoToMyPCを提供しています。仮にどこかで災害が発生しても確実にサービスを提供し続けられますので、その点でも市場のトレンドに合致していると思います。
――アセンテックがシトリックスのGoToMyPCを扱われる理由をお聞かせください。
【佐藤直浩氏(以下、佐藤氏)】
弊社は仮想デスクトップの専業ベンダーとして、10年以上、XenDesktopをはじめとするシトリックスの製品を扱ってきました。仮想デスクトップは、金融機関をはじめとする大規模かつ高いセキュリティを必要とされるお客様から導入が進み、現在、かなりポピュラーになってきたと思います。こうした中、我々がGoToMyPCを扱うことにしたのは、セキュリティの観点でも、BCPの観点でも、利便性の観点でも、非常に使いやすい究極のソリューションだと考えたからです。また、従来の仮想デスクトップソリューションには、初期投資がかかるという課題がありましたが、GoToMyPCはクラウド型サービスとして、1ホスト(シート)あたり14,400円/年(注1)と非常に低コストでご利用いただけるのも、大きなメリットだと思います。
注1:年契約で最低3シートより受け付け
グローバルなデータセンターのネットワークで実現された高パフォーマンス、高可用性が最大のポイント
――ワールドワイドのリモートPC市場で73%という高いシェアを獲得できた最大の理由は何でしょうか。
【ムッソン氏】まず、最初に申し上げておきたいのは、シトリックスはリモートアクセス市場のパイオニアであるということです。当初はPC間のリモートアクセスをアメリカ市場に特化して立ち上げましたが、その後、かなり大きな投資を行って、グローバルなデータセンターのネットワークを構築してきました。その結果、非常に高いパフォーマンスと可用性を実現することに成功しました。競合他社で、ここまでのインフラを構築しているところはありません。それが、他社との決定的な違いです。さらに、シトリックスの持つリソースや投資能力を最大限に活用し、新しい機能を迅速に開発してきたことも挙げられます。この結果、市場の急速な変化にもしっかりと対応でき、73%というシェアにつながっていると思います。
――エンドユーザー、IT管理者、経営者のそれぞれ視点で、GoToMyPCがもたらすメリットについてお聞かせください。
【ムッソン氏】ユーザーにとっての最大のメリットは、簡単ですぐに使い始められることです。クラウドサービスですので、ログインし、接続先のホストを選択するだけで仮想デスクトップが利用できます。
IT管理者にとっては、管理設定を細かくカスタマイズできるのがメリットです。グループを作成し、グループ単位でユーザーを管理できますし、リモート印刷やファイル転送などの個々の機能について、ユーザー単位で有効/無効を設定することもできます。さらに、ユーザーごとにアクセス可能な時間を設定することもできます。これにより、たとえば業務委託している社外ユーザーに勤務時間だけアクセスを許可するといった柔軟な運用が可能になります。レポート機能も充実しています。個々のユーザーのアクセス時間、認証履歴などがすべてログとして記録され、レポートとして表示できます。
経営者にとってのメリットは、GoToMyPCが非常にROIの高いソリューションであることです。具体的には、出張はもちろん、在宅勤務などの社外での社員の生産性を飛躍的に高めることができます。また、サブスクリプションベースで提供されるため、コストの予見性か高く、先を見通すのが容易であるのもメリットです。
さまざまな活用が期待されるGoToMyPCによる安全なリモートアクセス
――米国での導入事例についてお聞かせください。
【ムッソン氏】法律事務所で使われる例がわかりやすいと思います。弁護士の先生方にとって、クライアントレコードは、当然、非常にセキュリティの高いデータです。したがって、こうした重要なデータはオフィスのPCに置き、外部からGoToMyPCでアクセスする例が非常に多くあります。建築関連の企業にもよく利用されています。建築関係では、特殊な図面データやCAD/CAMなどの特殊なアプリケーションが利用されますが、実際の建築現場で、こうしたデータやアプリケーションをiPadから使いたいというニーズが多いのです。銀行や証券会社などの金融関連の企業でも多く利用されています。社外から社内のPCにアクセスする際に、時間を制限する使い方が多いようです。
――日本でも同様の使い方が予想されるでしょうか。
【佐藤氏】基本的には米国と変わらないと思いますが、我々としては、代表的なシナリオとして、エグゼクティブ、ビジネスハイパフォーマー、プロフェッショナルチーム、デザイナーの4つを想定しています。エグゼクティブに関しては、iPad/iPad miniなどの持ち運びの容易なデバイスでプレゼンテーション、決済、メール、スケジュール管理などを行いたいという要望を多くいただいています。
ビジネスハイパフォーマーとは、営業などで社外から会社の自席PCにアクセスし、業務アプリや業務資料を利用するシナリオです。ここで重要なのは、レガシーアプリケーションもそのまま使えるということです。VDIですと、仮想化のために移行できない機能があったり、場合によってはプログラムの書き換えが必要になったりしますが、GoToMyPCならその必要はありません。
プロフェッショナルチームというのは、弁護士、医師、エンジニアなどの専門職のユーザーを想定したシナリオです。これについては、ムッソン氏が説明されたとおりです。
デザイナーというのは、MacBookやiPhone/iPad等さまざまなモバイルデバイスからMacintoshにアクセスし、外出先でIllustratorやPhotoshopなどのツールを利用するシナリオです。デザイン関連の企業には、非常に有効な使い方だと思います。
オプションでクラウド型のワンタイムパスワード認証サービスも提供
――アセンテックの役割についてお聞かせください。
【佐藤氏】1つはサポートです。1ホストあたり14,400円/年の料金には、サポートも含まれています。Webによる情報提供に加えて、GoToMyPCの稼働状況もリアルタイムで提供します。Webからのお問い合わせは24時間365日受け付けて、原則として午前中のお問い合わせは午後には回答する体制を整えました。また、日本語によるフリーダイヤルもご利用いただけます。
オプションとしてクラウド型のワンタイムパスワード認証サービス「セーフネット認証サービス(SafeNet Authentication Service)」も提供します。このサービスを利用すると、トークンにより生成されたワンタイムパスワードを入力した場合のみGoToMyPCへのログインが可能になりますので、セキュリティを大幅に強化することが可能です。弊社としては、こうした複数のクラウドサービスをインテグレートしてお客様に提供する機能を、今後、さらに強化していきたいと考えています。
――最後に、日本のユーザーにメッセージをお願いします。
【ムッソン氏】シトリックスは、今回、アセンテック、パートナーと組んで日本市場に参入することに大きな期待を寄せています。GoToMyPCにおいては、現在、米国のお客様、特にモバイルワーカーの皆様が享受している高い生産性、ベネフィットとまったく同じものを、日本のお客様にもお届けできると思います。また、今後は、GoToMyPCを皮切りに、我々が持っているその他のサービスもさらに展開していきたいと考えています。ぜひ、日本市場と長くおつきあいさせていただければと思います。
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