• 2013/11/21 掲載

世界を驚かせたフラッシュストレージが日本上陸 導入企業の事例から見るその実力とは?

ビッグデータ活用の最適解となるか

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コストと品質、キャパシティとパフォーマンス。多くのユーザー企業は、こうした相反する複雑なニーズを満たすストレージ選びに頭を悩ませてはいないだろうか。実は、その悩みに答えを出す可能性を持つ米国発のストレージがある。創業わずか3年で1750社の導入実績をあげたNimble Storageだ。同社は今秋、満を持して日本市場に参入。なぜ米国をはじめとした世界で同社のストレージが受け入れられたのか、その背景にある企業の悩みとそれを解決する画期的な技術とは。来日したCEOのSuresh Vasudevan氏にインタビューし、最新の導入事例から、企業にとっての最適なストレージ環境を探る。

ビックデータ活用を実現する、最適なストレージ環境とは

 情報爆発の時代、企業の扱うデータは増加の一途をたどっている。また、ビッグデータの活用を目指す企業は、蓄積したデータから今まで知りえなかったビジネスチャンスを得ようと、データ分析に取り組んでいる。

 データをいかに多く蓄え、いかにすばやく分析し、意思決定に活かせるかが、これからのビジネスの成功を握るカギとなるだろう。

 こうした背景から昨今とりわけ注目されているのが、データを格納するストレージである。多くのユーザー企業はストレージに対し、コストと品質、キャパシティとパフォーマンス、相反した複雑なニーズをすべて満たすことを求めている。

photo
Nimble Storage
CEO(最高経営責任者)
Suresh Vasudevan氏
 「これまでもパフォーマンスとキャパシティのニーズに対応するため、SSDとHDDをハイブリッドさせたストレージは存在しました。しかし、それぞれの長所をうまく生かしているとは言えませんでした」と語るのは、米国で今急速に注目を集めるストレージ企業、Nimble StorageのCEO Suresh Vasudevan氏だ。

 同社は、Vasudevan氏いわく「真の意味でSSDとHDDのハイブリッドを成し遂げたストレージ」というNimble Storageを世界で展開している。今回は、同社ストレージの導入事例から、企業にとっての最適なストレージとはどのようなものかを探ってみたい。


創業3年で全世界1,750社へ導入、豊富な実績を持つNimble Storage

 米国で今急速に注目を集めるNimble Storage。創業の経緯について、Vasudevan氏は以下のように語る。

 「Nimble Storageは2008年、既存ベンダーでのビジネスに飽き足らなかったマネージャーたちが集まり、ストレージ領域において“破壊的な”ブレークスルーを達成するために創業しました」

 その後Nimble Storageは、発売開始から3年足らずで米国、ヨーロッパの1,750社に導入されるまでになった。

 代表的な事例では、オーストラリアの大手金融機関でのケースがある。この企業では情報共有基盤としてMicrosoft Exchangeを利用しており、全豪に広がる30,000名の社員のメールボックスとして用いる適切なストレージを探していた。

 「とある既存のストレージベンダーは、SSDとHDDを用いたハイブリッドストレージ6ラック構成を提案されていました。一方、我が社は同等のシステムをわずか1/2ラック構成で提案。さらに、わずか5週間の検証(PoC:Proof of Concept)でそれが可能であることを証明しました」
 
 この劇的な違いに驚いたこの企業は、Microsoftのコンサルタントにストレージの稼動に関するシステム監査を依頼したほどだ。

 同社ストレージを導入したこの企業は、競合他社の提案と比較して1/12のストレージボリュームでシステムを構築。40%の初期コスト削減を達成するとともに、電源消費だけで月7,000ドルの運用コスト削減を達成した。ストレージ管理もシンプルになり、同社ではExchangeの管理者が兼任でも運用できるようになったという。

革新的アーキテクチャ「CASL」で低コストかつ高品質を実現

 もう一つは、グローバルな通信事業者での事例である。ここでのストレージ導入目的はビッグデータ活用だった。同社には数億台に上るネットワークデバイスを有しており、ネットワークセキュリティ担当者はそのデバイスからデータを非SQL型データベースに収集、内部ネットワークへのサイバー攻撃に関するリアルタイム分析を行っていた。

 「従来はデータが大量であるため、リアルタイム分析といっても時間単位でクエリ結果が返ってくるのがせいぜいだったそうです。ところが、Nimble Storageの導入により数分単位での分析が可能になりました。また、データ量がより膨大になることで1/100サンプリングでも分析不能だったパブリックネットワークに関する分析が初めて可能になったそうです。これにより、分析結果に基づいた迅速なアクションを起こせるようになった、とお喜びでした」

 なぜ、このようなことが実現可能なのか。それはNimble Storageが誇る“破壊的な”ブレークスルーの結果だと、Vasudevan氏は語る。

画像
Nimble Storageアーキテクチャ概要図

 「一つはInfoSightを名づけたクラウドベースのリモート管理プラットフォームです。従来、ストレージの運用管理は顧客が行うのが当然とされてきましたが、クラウド環境がここまで発達してきた現在、我々ベンダー自らが運用管理を行うことが可能になりました。その方が効率的で顧客の業務を簡素化できます。

 そしてもう一つは、CASL(Cache Accelerated Sequential Layout)と名づけた独自のファイルシステムです」

 それでは、このCASLとはどのようなアーキテクチャなのか。

 既存のストレージと異なるのは、SSDの使い方だ。Nimble Storageでは書き込み時にSSDを使わず、読み込み専用のキャッシュとして使うことにした。書き込み時には、小さなデータをメモリ内で圧縮をかけてグループ化し、一つの大きな、たとえば100という単位の連続データにする。

 これにより、HDDが1秒間に75ランダムI/Oしか許容しなくても7,500ランダムI/Oを達成できる。HDDでも、SSDのようなパフォーマンスを実現できるのだ。

 一方、SSDを読み込み専用のキャッシュにする利点としては、どれぐらいのボリューム単位でHDDからホットデータを移行してくるかにさえ気を使えば、冗長性を考慮せずにすみ、SSDの消耗も抑えられるという点がある。そのため、採用するSSDは安価なものでよいという。

 「データ圧縮、SSD用途の絞り込みという新しい発想を持ちこむことによって、SSD、HDDを最適な形でハイブリッドさせ、高いパフォーマンスとキャパシティ、コストバランスを実現したストレージを開発できました。これらのポイントが、グローバルで広く我々が受け入れられている理由ではないでしょうか」とVasudevan氏は強調する。

「ユーザーに対して100%コミット」を掲げ、満を持して日本市場に参入

 Nimble Storageは創業当初から海外進出を視野に入れていたという。しかし、当初は30名でスタートしたベンチャー企業であったことから、まずは製品のローカリゼーション労力を最小限に抑えられる英語圏のマーケットからスタート。

 3年が経過してスタッフも300名となり、日本市場を理解するスタッフも揃ったことから、参入を決断した。Vasudevan氏は「日本は十分に大きい市場で、ストレージを利用しているアプリケーションも北米で成功しているものが多く、適合性が高いと考えています」と期待を寄せる。

 市場攻略にあたって、同社はまず比較的動きの速い3,000~5,000名規模の中規模企業から導入が進むと予測。大企業は技術検証に時間をかける傾向があるため、導入はその後になると見ている。

 また同社は、チャネルパートナーによる販売を重視しており、日本市場においても同様の戦略を取る。パートナー選定の基準は、「どのようなソリューションをラインナップしているか、新しい技術への適用に積極的であるかどうか」だとVasudevan氏は語る。同社はまず日本での代理店契約を結んだアセンテックと協業して販売を進めており、加えて多くの企業が手を上げるなど、幸先のよいスタートを切っているようだ。

 「新しい市場に参入する際は、100%コミットできるかどうかが重要。中途半端な気持ちで入れば、市場も自らもダメにします。その意味で今、日本から挙がる要望を見極め、迅速に動く体制が整備できたと考えています。日本でも成功できるよう最善を尽くします」

 日本市場参入にあたって、同社は12月4日(水)に、アセンテックと共催でセミナー「Nimbleが変えたストレージの未来像~世界に驚きをもたらしたストレージの革命」を開催する。当日は、ストレージに課題を抱えるユーザーの疑問に直接答えるセッションに加え、Nimble Storageの優位性やデモンストレーションの紹介も行う予定だ。世界を席巻した新しいフラッシュストレージに興味があるなら、ぜひ参加してはいかがだろうか。


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