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  • 2021/01/19 掲載

創業100年のワイン商社、DXへの道。独自で発注システム開発、アプリ対応、LINE活用も

連載:経営トップに聞く「優秀企業のアプローチ」

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独立系インポーターとして、輸入ワイン販売の数量実績が第1位のシェアを誇るモトックス。同社は、グッドカンパニー大賞(特別賞)に選出されたり、ワイン専門誌で「真っ当なインポーター1位」を受賞するなど、高い評価を受けている。同社は、独自のWeb発注システム開発やLINEを利用し、業界の先駆けとしてICTの取り組みを推進してきた。代表取締役社長 寺西太亮氏に、卸売におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)を中心に話を伺った。
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モトックスは、フランスのほか、イタリア、スペイン、ポルトガル、ドイツ、オーストリア、ハンガリーなどのワインを取り扱う。最近は国内ワイン(勝沼)にも力を入れている
(画像提供:モトックス)


「元手なし」で創業したことから現在の社名に

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モトックス
代表取締役社長
寺西太亮氏
(画像提供:モトックス)
──貴社の沿革やビジョン、事業内容について簡単に教えてください。

モトックス 代表取締役 寺西太亮氏(以下、寺西氏):創業は1915年、いまから100年以上前にさかのぼります。創業者が元手のないところから事業を起こしたので「元なしや」という屋号を名乗りました。初期は酒類ではなく、魚の行商や料理屋など、色々な商売をやっていたそうです。

 ただし、創業以来ずっと大事にしてきたモットーは「正直商売」でした。元がないからこそ、誠実さをもって事業に取り組まねばいけないということです。その後1930年から酒販店に専業することになり、戦後になってから酒類卸売業免許をいただ問屋業がスタートしました。

 ビールについては、サントリーやアサヒビールの特約店になっていましたが、規制緩和の波が訪れ、街の酒屋以外にスーパーやコンビニなどでも酒類が並ぶようになりました。このまま大手の商材を扱うだけでは、卸売業者として先細り感がありました。

 そこで30年ほど前、先代の時代から新しい商材としてワインを取り扱うようになりました。ちょうどバブルの頃で、時流に乗ったこともあり、ボジョレー・ヌーヴォーなどのワインが大ヒットし、販売を伸ばすことができて、いまに至っています。

──具体的に取り扱っている輸入ワインにはどのようなものがありますか?

寺西氏:現在は輸入ワイン21ヵ国、日本ワインを加えると22ヵ国、400以上の生産者のワインを扱っています。希望小売価格が1000円弱から数十万円まで、その種類は2000以上です。お取引先も全国にわたり、百貨店や、多くのワインショップとお取引があります。



細部に宿る品質管理、本当に自信のあるワインしか流通させない

──貴社の品質面でのこだわりを教えていただけますか?

寺西氏:我々は、法令(輸出入酒類卸売業免許など)で定められている項目以外にも「ラベル表示」「安全性」「状態」「容器と栓の性能」「醸造工程」という5つの項目で、独自の品質基準を設けています。新酒を除くすべてのワインに対して、1本ずつボトルを丁寧に検品し、倉庫でも厳重に温度を管理しています。

 ワインや日本酒は流通時に品質が劣化しやすく、中・長期間の温度管理が非常に大事です。このあたりはワイン業者であれば当然のことですが、バックヤードの見えないところでも徹底することが大切だと思います。

 当社では取り扱いワインの70%を定温コンテナで輸入し、ワインの搬入・搬出時には、コンテナに入った商品が外気と触れないように外気を遮る「エアシェルター」や「ドックシェルター」を使用しています。国内に到着し、長期保存が必要なワインは、湿度までコントロールできる定温・定湿倉庫に入れて、徹底した管理を行っています。

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徹底した品質管理。ワインでは温度と湿度の管理はキモになるところ。そのため流通過程においても、 コンテナに入った商品が外気と触れないような工夫を凝らしている
(画像提供:モトックス)

 ワインは農産加工品ですから、工業製品のように画一化したものではありません。商品開発については、たとえバイヤーが良いという商品であっても、社内で厳しくチェックし、本当においしいと思ったものしか扱いません。ですからブランド品でも、必ず自分たちの舌で試飲して確認しています。我々の“正直商売”という考え方から来ているものです。

【次ページ】業界初の専用Web発注システム開発、最優先すべきは「環境整備」
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