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  • 2020/05/18 掲載

コロナと共存する「ニューノーマル」時代、日本流データ駆動型ものづくり企業を目指せ

【緊急連載】コロナショック復興計画

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いまだ衰えない新型コロナウイルス。感染のピークを過ぎている地域では、ロックダウンが解除されましたが、第二波、第三波が訪れることも考えられます。5月12日に発表されたトヨタの決算では、来期の営業利益が8割減になるという衝撃の見通しが明らかになり、豊田章男社長は「新型コロナはリーマン・ショックよりもインパクトが大きい」と語っています。こうした中で日本のものづくりが生き残るための戦略とはどのようなものでしょうか。本稿ではコロナとの併存が当たり前になる「ニューノーマル」時代の状況を見定めつつ、日本の製造業が引き続き勝ち抜くための道筋を考察します。
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「コロナとの共存」を前提としたものづくりとは?
(Photo/Getty Images)



再び動き始めた経済活動、コロナとの共存が前提となる時代へ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大は一時期のピークを過ぎ、欧州や中国ではロックダウン(都市封鎖)が部分的に解除されはじめました。また、米国では政治的な理由によって州ごとの解除を模索しています。

 米国最大の感染者が出ているニューヨーク州のクオモ知事は、4段階で業種別に経済活動再開を探っています。再開の第1段階は建設、製造、卸売業に絞られ、第2段階は金融、保険、不動産、小売業など、第3段階は飲食、宿泊業など、最後の第4段階は娯楽やアート、学校など教育関連となります。

 日本では緊急事態宣言の解除を5月末まで延長しましたが、東京都や大阪府では具体的解除基準を提示しない国に出口戦略の明示を求めるとともに、それぞれ自ら独自に基準策定して再開への取り組みを行っています。

 新型コロナウイルスは、今後も第二波、第三波が訪れると考えら、世界が以前の姿に戻ることはなく、新型コロナウイルスとの共存を前提とした“ニューノーマル“時代が到来するというのが筆者の考えです。

 日本のものづくりが生き残るためには、ニューノーマル時代に対応した「データ駆動型ものづくり」に挑戦して先行する欧米中企業の一歩前へ出なければならないと思っています。今回は、ニューノーマル時代を見定めつつ、日本の製造業が勝ち抜けるための道筋を考察します。

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今後「ニューノーマル」を受け入れていかなくてはならない
(Photo/Getty Images)

経済圏が二極化する“ニューノーマル”時代の世界とは?

 緊急事態宣言が延長された日本。新型コロナウイルスの感染を収束させるための医療的な措置としてはやむを得ないのかもしれませんが、企業への休業要請や学校授業のオンライン実施など、経済活動や日常生活を取り戻すという面では後手に回っています。

 中国や欧州では、新型コロナウイルス感染の第一波は収束したとして、ロックダウン(都市封鎖)を部分的に解除しています。医療面から行動自粛の要請を継続する日本と、経済面から部分的な解除に踏み切った欧米と中国では、その先行きが大きく変わって来ると予想されます。

 分断されたサプライチェーンは、速やかに再構築されますが、そのサプライチェーン網はこれまでの構成とはあきらかに異なったものとなっています。

 以前の記事でも紹介したように、米国と中国の2大経済圏の対立はさらに深まり、保護主義とブロック経済が新型コロナウイルスによって加速すると予想されます。オープンなグローバル化時代は終わりを迎え、保護主義と中央集権化されたクローズド・バリューチェーン・ネットワーク構築への動きが加速すると予想されます。

 サプライチェーンと呼ばずに、バリューチェーンと呼んでいるのは、見込み生産でものづくりするのではなく、オーダーを受けてから少量多品種生産を行うデマンド・チェーンであることと、モノだけではなくコト(サービス、コンテンツ)をその中に含んだネットワークが形成されるからです。

 インダストリー4.0(第4次産業革命)は、新型コロナウイルスによって変異したクローズド・サプライチェーンによるニューノーマル時代の基本技術になると思われます。日本は、欧米陣営に属しながら、中国経済圏との接点を持つ出島のような役割を果たすことになるかもしれません。しかし、日本のものづくりが生き残るためには、こうした先行するドイツ、米国そして中国との仲介をするだけでは難しいと思います。

【次ページ】日本の製造業が生き残るための秘策はあるのか?
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