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  • 2020/01/22 掲載

RPA活用は序章 トヨタの地域販売戦略を支える業務基盤として「BPMS」活用へ

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ATビジネスは、2007年10月から愛知トヨタをはじめとするATグループ各社の間接業務受託を開始した。それに先駆けて2006年から外部コンサルティング会社の支援も仰ぎ、1年をかけて125の標準業務フローを作成。しかしこの標準業務フローへの移行がなかなか進まず、現場の実業務をベースに業務フローを見直そうとしたが標準化が進展しない状況にあった。そうした中で着目したのが、一従業員が個人的に使っていた“RPA的”なフリーソフトだった。ここから同社はRPAの開発を推し進め、さらにその先を見据え、業務プラットフォームの改革に着手する。
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ATビジネス 取締役社長 中村 栄治氏

1年かけて作成した標準業務フローが機能せず

 愛知トヨタをはじめとする自動車販売会社や、トヨタ系の販売事業会社など12社から構成されるATグループ。その各社の間接業務を受託するに当たり、ATビジネスは「3つの取り組み」で推進することとした。

 まず2~3年後を見据えた標準業務フローを作成し、業務手順を統一すること。次に月次で開催する経営会議と方針管理で標準化を推進していくこと。そして改善提案制度の3つだ。

 しかしこのうちの1つ目、2~3年後を見据えた標準業務フローは、間接業務開始以前の2006年から超大手コンサルティング会社のサポートで作成したにも関わらず、まったく機能しなかったという。

 「第14回 BPMフォーラム 2019」で登壇したATビジネス 取締役社長の中村 栄治氏は「なぜ標準業務フローを使って進めようとしないんだ、と現場に聞いたら、『それは何ですか?』と質問されて驚愕した覚えがある」と当時を振り返る。

 2006年から約1年間、管理・間接業務に関わるマネジャーが毎週集められて、125もの業務フローが作られたが、会社設立時に業務フロー作成に関わったマネージャーの多くが事業会社に残ったこともあり、それらは使われることはなかった。

「仕方がないので、それでは今やっている業務の手順書を作ってくれと現場に指示を出した。しかしそこではグループ会社ごとに手順が違うとか、同じ経理業務でも、この人はこの作業をやっているが、この人はやっていないとか、さらには『なんで自分のやり方を変えなければいけないのか?』あるいは『私のやり方に合わせてください』という話になって、標準化がなかなか進まないという状況だった。個々人で自分の業務を改善する取り組みは頑張ってやってくれていたが、手順の統一はなかなかうまく進まなかった」(中村氏)

 こうした状況の中で目を留めたのが、一部の経理担当者が個人的に業務で利用していたフリーソフトだった。

「今で言う“RPA的”な処理を行うソフトウェアで、PCへの操作を自動化するものだった。彼らはこれを使うことで、毎日2時間かかる手作業を15分にまでに短縮していた。そこで2016年7月にこの取り組みを改善提案として出してもらい、8月に表彰して全社に推奨した」(中村氏)

フリーソフトからRPA化、伝票入力を中心に104の作業の自動化

 実は中村氏は、フリーソフトによるPC操作の自動化を表彰した少し後にRPAを知ったという。そして2017年2月、ロボットによる自動化で業務効率化を支援するRPAテクノロジーズに話を聞きに行った。さらに4月には、ITベンダーからRPAを利用する人事給与業務のBPO(Business Process Outsourcing)の提案を受けた。

「その提案内容には、システム開発という工程が入っていた。何をするのかと聞いたら、『ロボットで処理させるプログラムを作るので、約3カ月かかる』と言われた。それがRPAだった。そこでBPOはいいので、RPAを売ってくださいということになった」(中村氏)

 翌5月には経営会議でRPA活用のメリットを訴え、ITベンダーからの提案ももらった。そして11月、改めて作業一覧表と手順書の作成を開始し、RPA化を推し進めて、伝票入力を中心に104の作業を自動化したが、個人作業の自動化ということで効果は限定的だった。

「今後もこのプロジェクトを進めていくためには、やはり専任チームが必要だと考えた。そこで2018年1月に経理部内に業務改善チームを発足させた。専任2名、兼務2名の計4名体制だ」(中村氏)

RPAの本格活用に向け、管理基盤としてBPMSを利用

 さらにRPAを本格的に利用する際に必要となる4つの要件も設定した。まず専門知識のある一部の人だけでなく誰でも使え、コーディング無しで作成できること、また万一処理が止まったら手作業でも実行できること、そしてフリーソフトのように「いつなくなるか分からない」ものではなく、将来にわたって安心して使えること、最後にフリーソフトのRPAで経験した、野良RPAを発生させず管理できることだ。

「これら4つの要件に対して、ITベンダーのNTTデータイントラマートから『それはBPMS(Business Process Management System)を使って解決できるのではないか』という提案をもらった。つまり“RPAの管理基盤としてBPMSを利用する”ということだ。そこで2018年2月、NTTデータイントラマートとも相談をしながら、RPAとBPMSをセットで入れていくことを決めた。ここで重要なポイントは、我々は始めから“BPMSありき”で考えていたわけではなく、あくまでRPAを管理するためにBPMSを使おうと決めたということ」(中村氏)

 その後同社は、BPMSによるRPA管理のPoC(概念実証)も経て、同年7月にBPMSを正式に稼働。8月にBPMS上でのRPA操作の研修を開始した。RPAの実行指示や稼働管理、エラー対応、権限管理などをBPMSの機能の中で吸収するためのものだ。

【次ページ】専任チームが「このまま行くとマズイと思います」と言ってきた理由
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