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「2024年のオリンピックの正式種目として検討」という枕詞でひんぱんに取り上げられるようになったeスポーツ。まだまだ単なる「ゲーム」というイメージも強いが、そのブームはすでに世界中に広がっている。日本のeスポーツ界の黎明(れいめい)期から当事者として関わる、国内初のeスポーツ専業企業・ウェルプレイド代表 谷田 優也氏、ゲームメディア『ファミ通』グループ代表で日本eスポーツ連合副会長 浜村 弘一氏、日本初のeスポーツのサッカー専門メディア『VAMOLA eFootball News』編集長 ちゃまくん氏の3名を交えた議論が行われた。メインファシリテーターは、財務副大臣 鈴木 けいすけ氏が務める。
世界でひしひしと高まるeスポーツ熱
ゲストパネリストとしてトークセッションに参加したのはウェルプレイド 代表 谷田 優也氏、ゲームメディア『ファミ通』グループ代表 兼 日本eスポーツ連合副会長 浜村 弘一氏、『VAMOLA eFootball News』編集長 ちゃまくん氏だ。
ファシリテーターは財務副大臣 鈴木 けいすけ氏、タレント 黒田 有彩氏、イグニション・ポイント コンサルティング事業本部 マネージャー 陸田 浩次氏の3名が務める。
メインパーソナリティーである鈴木氏のeスポーツとは何か、という問いからトークセッションは始まった。最初に答えたのはウェルプレイドの谷田氏だ。
「当社ではeスポーツという定義を『デジタルの機材といった媒体を通じて競技が成立しているもの』としています。プレイする人だけでなく、観る人も含めてルールに納得ができれば、それはeスポーツと言えると考えています。eスポーツは実はとても間口が広いものなのです」(谷田氏)
eスポーツ連合副会長の浜村氏は、グローバルから見た日本の現状についてこう話す。
「世界の中で見ると、日本は完全にeスポーツ後進国です。これは、任天堂、ソニーを輩出した家庭用ゲーム先進国であることが大きいです。eスポーツはPCで流行しましたが、日本では家庭用ゲームが強いがゆえにPCゲームが駆逐されてきたのです」(浜村氏)
4年に1度開催されるスポーツの祭典、アジア大会でも2018年、とうとうeスポーツがデモンストレーション競技としてジャカルタの地で採用された。採用されたのは『League of Legends』『Pro Evolution Soccer 2018(ウイニングイレブン 2018)』『Arena of Valor』『StarCraft II: Legacy of the Void』『Hearthstone』『Clash Royale』の6つ。
「日本からは6種目のうち5種目選手を出して、2種目で東アジア予選を突破しました。そもそも東アジアっていうのが韓国、中国、台湾、香港と強豪がそろう、超激戦区です。6種目のうち5種目がたしか東アジアがメダルを取っているんじゃないですかね。その中で、『Pro Evolution Soccer 2018(ウイニングイレブン 2018)』で日本人選手が見事金メダルを取って帰って来ました」(浜村氏)
2022年の杭州大会ではeスポーツは正式な競技として採用されることが決定している。日本eスポーツ連合は日本オリンピック委員会(JOC)への加盟を打診しているさなかだという。
eスポーツの魅力とは?制作会社、プレーヤーらそれぞれの視点
eスポーツ選手はプロでこそまだ人数は少ないものの、eスポーツ普及は競技人口にも表れていると谷田氏は語る。
「あるゲームタイトルの日本一を決める大会をお手伝いしたことがありましたが、その時は日本人だけで4万2000人もの人がエントリーしてくれました。IDを登録するだけなので参加はとても簡単です」(谷田氏)
また、ルール設定にも工夫を凝らす。
「課金をした方が遊びやすいゲームがあるのは確かですが、大会となれば100万円を課金したユーザーでも、無課金のユーザーでも等しくプレイができるように設定されています。その4万2000人が参加した大会の優勝者は無課金のユーザーでした。プレーヤーのスキルが実力の差を生む、ということを証明した瞬間です」(谷田氏)
eスポーツと一言で言っても、プレーヤー側でも観客側でも、色々な楽しみ方がある。その一つの楽しみ方が動画配信だ。ちゃまくん氏は現役プレーヤーでありながら、そのプレイの様子を動画コンテンツとして配信し、YouTuberとしても生計を経てている。彼はプロのeスポーツ選手ではないが、プロeスポーツ選手を目指して活動中だ。サッカーゲームの『ウイニングイレブン』『FIFA』シリーズを中心に実況動画を毎日投稿している。
多い時には6000人もの人がライブ配信を観に来たことがあり、eスポーツを観たいという人の多さを実感したそうだ。
eスポーツの映像制作も手がける谷田氏はこう語る。
「これだけ観客数が多いこともあり、テレビと同様の演出が求められてきています。ゲーム画面だけを映すのではなく、プレーヤーの表情など複数のカメラとの組み合わせ、試合順や対戦相手の情報なども表示し、わかりやすい画面を作るよう心がけています」(谷田氏)
スマートフォンでの視聴が若い世代にとって当たり前になってきたこともあり、eスポーツの観客も増加。それを受けて、特に若年層にアプローチしたいスポンサーの数も増えてきている。たとえばJeSU(日本eスポーツ連合)のスポンサーではau、サントリー、ローソン、インディード、ビームスなどの企業が名を連ねる。
「最初プロのリーグができたときのスポンサーは、PC周辺機器やマシンのメモリのメーカーだったり直接的にゲームに関わりがある企業でした。それが今は、一般のメーカーに広告として使えると判断をされていて、実際にそうなっている。今後、さまざまな会社のプロモーションやイメージ戦略に密接に関わっていく将来が見えます」とファシリテーターの一人を務めたイグニション・ポイントの陸田 浩次氏は話す。
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