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- 2019/02/25 掲載
日本郵政がアフラックに2700億円を投じるワケ 「4000億円の失敗」は活かせるか
事実上の国内出資?
4年後にアフラックは日本郵政のグループ会社に
アフラックは珍しい定款を定めており、普通株式を48カ月保有し続けると、1株につき10の議決権が付与される。今の株主構成が大きく変わらなければ、4年後の日本郵政の持ち株比率(議決権ベース)は20%を上回るので、アフラックは日本郵政の持分法適用会社となる。つまり、アフラックは4年後には日本郵政のグループ会社になるわけだが、日本郵政はアフラックの経営には介入しないとしている。
経営に参画するつもりはないものの、グループ会社化に必要なシェアは確保するという話だが、そうだとすると今回の出資は何を目的に実施されるのだろうか。
目的のひとつは、持分法適用による日本郵政の業績拡大である。アフラックの2018年12月期の売上高は217億5800万ドル(2兆3900億円)、純利益は29億2000万ドル(約3210億円)。日本郵政傘下のかんぽ生命の売上高(2018年3月期)は7兆9500億円だが、その3分の1の規模がある。
日本郵政は、傘下に日本郵便、かんぽ生命、ゆうちょ銀行を擁しており、かんぽ生命、ゆうちょ銀行は独自に上場するという、いびつなガバナンスとなっている。かんぽ生命とゆうちょ銀行は金融事業なのでそれなりの収益を維持しているが、郵便事業を行う日本郵便の業績はさえない。
豪州の物流会社で4000億円の損失
宅配事業などを加えれば黒字だが、郵便事業単体ではしばしば赤字に転落することもあり、収益向上が喫緊の課題となっている。こうした事態を打開するために決断されたのが、オーストラリアの物流会社であるトール・ホールディングスへの出資である。2015年、日本郵政は約6200億円を投じてトール社を買収したが、その直後に同社の業績が悪化、4000億円を超える減損を強いられた。
買収してすぐに巨額損失が発生するというのは、買収先の経営状況を完全に見誤ったものであり、この案件は完璧な失敗だったといってよい。もう後がない日本郵政としては、確実な投資先でなければ決断できない状況であり、安定経営を続けているアフラックの収益を取り込めることは魅力的だったに違いない。
アフラックが増配を続けていることも大きい。
同社は創業家が経営の主導権を握っていることもあり、長年にわたって増配を続けている。今の配当が継続した場合、日本郵政は年間60億円の配当を受け取ることができる。投資利回りは2.2%なので、純粋な投資目的と考えても悪くない。
安定的な業績を上げている企業の収益を取り込むため、2700億円を投じることがリーズナブルなのかは微妙なところだが、取りあえず収益拡大という目標は達成できそうだ。
【次ページ】なぜかんぽ生命はがん保険を提供していないのか? 背景には日米関係
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