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- 2024/10/11 掲載
【やさしく解説】石破・新政権の「顔ぶれ」から見えてくる“経済政策の狙い”とは?
財務大臣と厚労大臣の人事から見えてくること
今回の自民党総裁選は、岸田前首相が裏金問題の責任を取る形で派閥解消を宣言し、オープンに実施されたことから、史上最多となる9人が立候補した。決選投票を制した石破氏は、良くも悪くも従来の派閥順送りではなく、自身に近い人物を重要ポストに据える人事を行った。党内の一部からから不満の声が上がっているほか、総選挙を控えていることから、本格的な人事は選挙後となる可能性も指摘される。では、今回の人事が完全に選挙対策なのかというとはそうではなく、石破氏のカラーはかなり出ている。
経済面に焦点を当てると、注目点のひとつは財務大臣に就任した加藤勝信氏と、厚労大臣に就任した福岡資麿氏だろう。
加藤氏は茂木派に所属していたが、総裁選では同派を割って出る形で茂木氏と総裁の椅子を争ったことから、茂木氏との距離が指摘されていた。安倍政権時代や菅政権時代に厚労大臣や官房長官を務めていたことや、かつて清和会の幹部だった加藤六月氏の娘婿という閨閥もあり、安倍元首相に近いとのイメージを持つ人もいる。
その意味で加藤氏の立ち位置は少々不明瞭だが、一方で加藤氏は財務省出身の政策通として知られ、財政の考え方などについては石破氏に近い。実際、就任後の会見では「経済再生と財政健全化の両立を進める」と現実主義的な財政運営を行う考えを示している。
加えて加藤氏は厚労大臣の経験があることから厚労行政にも精通している。厚労大臣には厚労行政のエキスパートとされる福岡資麿氏が就任しているが、実は福岡氏は茂木派出身でありながら裏金問題を受けて同派を離脱した議員の1人である。つまり加藤氏も茂木派出身だが茂木氏とは距離があったという点で一致している。
こうした両名を財務相、厚労相に充てた背景には、高市早苗氏に投票したと考えられる麻生太郎氏や麻生氏に近い茂木氏を排除するという政治的思惑に加えて、石破氏が公約として掲げる地方創生と社会保障制度改革の実現があると考えられる。
石破氏は総裁選の段階から、時代に合った公的医療制度の構築を主張しており、医療データを活用した効率的な医療保険制度の確立を目指している。一連の制度改革には、保険料徴収の透明化や財源確保など、財務省との連携が必須となるため、両省トップに実務能力のある人物を配置した格好だ。
メディアではあまり報道されないが、事務の首相秘書官には、厚生労働省のエースと呼ばれた熊木正人官房審議官が就任しており、秘書官人事からも、石破氏が社会保障制度改革に力を入れていることが分かる。医療電子化やジェネリック医薬品など医療業界への影響はそれなり大きいだろう。
重要ポスト、総務大臣の人事から見えてくること
もうひとつの重要ポストは総務相である。新しく大臣に就任したのが村上誠一郎氏だったことから、永田町には激震が走った。村上氏は安倍政権時代、安倍氏の強権的な政治手法を強く批判してきた経緯がある。安倍氏の後継者を自認し、今回の総裁選で石破氏と激しく争った高市早苗氏とは対極にある人物と言えるだろう。今すぐビジネス+IT会員にご登録ください。
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