- 会員限定
- 2024/07/24 掲載
ネットで広がる「石丸伸二型コミュニケーション」、対話の機能不全がもたらす問題点
「女、子ども」という驚くべき発言がテレビで行われた
2024年7月7日に投開票が行われた東京都知事選において、前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏が165万以上の票を獲得して2位となった。一気に全国の注目を集めた石丸氏だったが、選挙後に出演したテレビ番組における発言が次々と波紋を呼び、全国的に石丸論が盛り上がっている状況だ。安芸高田市時代の石丸氏は、基本的に議会との対立構造をSNSでアピールして支持層を広げていくというスタイルであり、いわゆる対話型の政治家ではなかった。だが、こうした石丸氏の政治スタイルや本人のキャラクターなどがよく伝わっていなかったせいか、投開票当日に放送された女性タレントとのやり取りは、多くの人に衝撃を与えた。
女性タレントからの質問に対し「前提が正しくない」と一蹴して逆質問を行うなど、会話がまったく噛み合わなかった。後日、別の番組に出演した石丸氏は、自身の対応に一部から批判が出ていることについて、「女、子どもに容赦をするっていうのは優しさじゃないと思っているから」「もうちょっと優しく言ってあげれば良かったのかな、ポンポンってやってあげる感じが良かった、でもそれ失礼ですよね」と、むしろ挑発的な反論を行った。
さらに主張はエスカレートし、別の番組では少子化対策について「今の社会規範では無理」と前置きしつつも、「たとえば、一夫多妻制を導入するとか、遺伝子的に子どもを生み出すとかです」と放言。ネットを中心に大荒れの状況となっている。一方で、石丸氏の支持者は溜飲を下げているという状況であり、両者の溝はあまりにも深い。
石丸氏のコミュニケーションの特徴
発言そのものの是非はともかく、石丸氏という新しい政治家の登場によって、日本社会における基本的な仕組みやルール、規範が根本的に変わりつつあるとの印象を持った人は少なくないだろう。石丸氏は従来型のコミュニケーションを望んでおらず、相手とのやり取りは基本的に一方向というスタイルになっている。だが、よくよく考えてみると、コミュニケーションの不成立や一方向しかないやり取りというのは、ネット空間ではもはや日常的な光景となっており、こうしたある種の機能不全は、ビジネスにも多大な影響を及ぼしている。すでに会社組織内外において従来型コミュニケーションが成立せず、業務運営に支障をきたしているケースはかなりの数にのぼっているはずだ。
従来型社会がうまく機能しなくなっているのが事実だとすると、石丸氏はこうした社会の構造変化を政治的に活用し、既得権益層に対して反感を持つ層をうまく取り込んだ政治家、ということになるだろう。そうなってくると、今後、第二、第三の石丸氏が出てくることは容易に想像ができるし、ビジネスの世界でも、これまでの時代であれば抑制されていた発言や言い回しについて、躊躇なく行う人が増えてくる可能性が否定できない。 【次ページ】資本主義が依拠する「相互信頼」という脆い概念
関連コンテンツ
関連コンテンツ
PR
PR
PR
今すぐビジネス+IT会員にご登録ください。
すべて無料!今日から使える、仕事に役立つ情報満載!
-
ここでしか見られない
2万本超のオリジナル記事・動画・資料が見放題!
-
完全無料
登録料・月額料なし、完全無料で使い放題!
-
トレンドを聞いて学ぶ
年間1000本超の厳選セミナーに参加し放題!
-
興味関心のみ厳選
トピック(タグ)をフォローして自動収集!
投稿したコメントを
削除しますか?
あなたの投稿コメント編集
通報
報告が完了しました
必要な会員情報が不足しています。
必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。
-
記事閲覧数の制限なし
-
[お気に入り]ボタンでの記事取り置き
-
タグフォロー
-
おすすめコンテンツの表示
詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!
「」さんのブロックを解除しますか?
ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。
ブロック
さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。
さんをブロックしますか?
ブロック
ブロックが完了しました
ブロック解除
ブロック解除が完了しました