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電子情報技術産業協会(JEITA)ITプラットフォーム事業委員会では毎年、「ITトレンド調査」を実施している。IoTやビッグデータ、AIなどの新たな技術への期待がますます高まる2018年においてIT投資の傾向やニーズの変化とともに、この数年で注目されている技術の事例が紹介された。
IAサーバ、単価も出荷台数も上がる特異な日本市場
プラットフォーム市場専門委員会 委員長の香川弘一氏が発表した「プラットフォーム市場動向調査」によると、2017年のサーバ・ストレージの生産額の見込みは、世界全体で約9兆円となった。香川氏は「プラットフォームの生産額が伸びている背景にあるのが、データセンターへの投資が増えていること。特に北米と東南アジアへの投資が爆発的に増えている」と説明する。その一方で、日本の生産額は横ばいとなっていて、欧州は微減傾向にあるという。
プラットフォーム市場専門委員会ではサーバやストレージの出荷統計も調査、公表している。これは参画企業の実績データそのものを集計しており、予測や推測などは一切含まれていない。国内の2017年度の総出荷実績を見ると、需要の中心であるIAサーバは2年連続で減少している。JEITAのWebサイトでは、2018年第1四半期(2018年4月から6月)の出荷台数も公表している。香川氏は「2017年よりも成長している気配がある」との見解を示した。
IAサーバの単価は上昇傾向にあり、2011年には1台約60万円だったのが、2017年には73万6000円となっている。中上位機種が単価上昇をけん引する。同クラスの単価上昇の背景について、香川氏は「ユーザーが仮想化の取り組みを拡大しているためだ」と説明する。
また香川氏は「日本の傾向は、他地域とは異なる」と指摘する。世界市場では単価が下がることで出荷台数が伸びるのに対して、日本では単価が上がっているが出荷台数も伸びているという。日本では高機能な製品が求められていると同氏は分析する。
サーバに対してIoT、AIへの期待高まる
新技術が台頭してきたことで、これまでとは異なるワークロードが増えている。従来のサーバのワークロードは、データベースを更新したり、Webを大量に裁くということが主だった。最近では、IoT(モノのインターネット)や広域データ連携、ビッグデータ解析やAI(人工知能)、機械学習などが登場している。
香川氏は「これらのワークロードへの要求は、従来の要求とは異なる」と指摘する。たとえば、広域データ連携やIoTというワークロードでは、決められた応答速度での安定した処理、大量のデバイス管理、大量データの管理・最適配置、厳密なセキュリティ管理が求められる。また、ビッグデータ解析やAI、機械学習というワークロードでは、さまざまなコンピュータリソースを活用して、学習や学習用教示データの効率的な収集とその作成などが必要になる。
プラットフォーム市場専門委員会では、このような新しいワークロードへの要求を踏まえて、プラットフォームも高機能化が図られており、エッジコンピューティングや分散データストア、サイバーセキュリティなど新しい要望が出てくると分析している。
2018年度以降の見通しについては「国内経済は2020年に向けたインフラ投資やセキュリティ対応強化、大企業を中心とした好業績などで需要拡大の兆しが見えている」という。しかし、プラットフォームの出荷の状況は、ユーザーのニーズによって変わることも考慮する必要がある。
【次ページ】IT投資全体の需要動向は「ほぼ横ばい」
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