- 会員限定
- 2018/05/09 掲載
「自治体初のICO」は、名誉挽回の好機となるか?
シリコンバレーのお膝元で市債発行
シリコンバレーのお膝元の自治体がICO
そのバークレー市がICOを企画しているという。ICOとは単純にいうと「仮想通貨の発行により資金を調達する」方法で、一つのプロジェクトに対し企業がトークンと呼ばれる仮想通貨を発行、一般の人々がこのトークン購入により資金を提供。このトークンが値上がりすれば投資としても有効というものだ。成功例としてイーサリアムが行ったICOがよく取り上げられる。
このICOに自治体が参入というのは世界的にも珍しい。有名なものとして、2018年2月にベネズエラが同国で産出される石油をバックとした独自のクリプトカレンシー、Petroを発行、初日に7億3500万ドル相当を集めたことが記憶に新しい。ベネズエラに対し経済制裁を行っている米国は、財務省が注意を呼びかけたが、それにも関わらずマデュロ大統領が「大成功」と発表した。
ベネズエラのICOは詐欺扱い
その後ベネズエラ政府によると1ヶ月で投資額は50億ドルにまで膨らんだと言われる。ただし詳細は謎のままだ。もし本当ならば歴史上最も成功したICOとなるのだが、3月の時点で米トランプ大統領は「米国民、企業などがPetroを保有することを禁ずる」という大統領命令を出した。4月現在でもPetroに関してはクリプトカレンシーの評価サイトが「詐欺」とランクづけるなど、情報が錯綜している。
ベネズエラと深い関係にあるロシア政府はベネズエラから提示された「ロシアから購入したトラックの料金支払いをPetroで行う」という案に悩まされているという。
仮想通貨に置き換えることで手数料を軽減
一方、バークレーが企画するICOはバークレー市が発行する市債をブロックチェーンを用いて仮想通貨に置き換えるというものだ。市議であるベン・バートレット氏が提案した。市債は主に学校、橋梁、道路などの建設、インフラ整備などが目的で発行される。しかし、従来の方法で発行すると、一般の株式などと同様に仲介手数料などが含まれ「非効率的」だとバートレット氏は主張する。
ブロックチェーンを導入することで、たとえば学校建設、という一つのプロジェクトに対する資金調達が容易になる、などターゲット化が可能になること、仲介業者を通さないので純粋な資金集めが可能になること、小規模なプロジェクトへの資金集めができるようになること、などがメリットで、バートレット氏はこれを「Initial Community Offering」と名付けている。
【次ページ】バークレーのICOに立ちはだかるハードル
関連コンテンツ
PR
PR
PR