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  • 2017/11/15 掲載

幻滅期を迎えるIoT、IT部門が幻滅されないために守るべき7カ条

ガートナージャパン 池田武史氏が解説

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ガートナーのハイプサイクルによれば、IoTは「過度の期待」のピークを過ぎて「幻滅期」に移行しつつある。企業の情報システム部門は、IoTの道連れとなって幻滅されてしまうことのないよう、IoTを正しく理解して取り組まなければならない。IoTに取り組む目的から、技術の選択、推進体制と人材確保など、IoTプロジェクトを成功させるための7カ条を、ガートナージャパンのリサーチ部門でバイスプレジデントを務める池田武史氏が解説する。
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IoTはこれからどんどん「幻滅」される
(© kumashacho – Fotolia)

※本記事は「Gartner Symposium/ITxpo 2017」の講演内容をもとに再構成したものです。

IT部門がIoTに正しく取り組むための7カ条

 IoT(Internet of Things)は、重要な局面を迎えている。ハイプサイクルでは、過度の期待のピークを過ぎて、幻滅期を迎えようとしているからだ。テクノロジの成熟期間であり、本物と偽物が分かれる局面でもある。

画像
IoTは本物と偽物が分かれる局面にある
(出典:ガートナー)


 ユーザー企業の情報システム(IT)部門は、これからの時期をどう過ごすかが重要になる。IoTとともに、IT部門も幻滅されてしまう恐れがある。講演では、IT部門が業務部門から幻滅されないための7カ条を示す。

  1. 顧客と自社の未来を描くことから始め、ビジネスの競争環境の変化に備えよ
  2. IoTの導入による期待すべき効果は、新しい競争環境の確立とそこでの競争優位の獲得であると理解せよ
  3. IoTの実現に関わるテクノロジの多くは未成熟であり、期待する成果を出すには数年の期間を要すると心得る
  4. 短期的な成果を目指すならば、IoTにはこだわらず、すぐに使えるテクノロジの採用を検討せよ
  5. テクノロジの導入だけではなく、制度やルール、商習慣などの環境の構築と浸透にかかる期間も考慮する
  6. IoTは、自社ではこれまでに誰もやっていないことへの取り組みになるという前提の下、人材を投入する
  7. デジタル時代の到来に備え、さまざまな起こり得る変化に対する試行錯誤を通じて、新たな変化を体感する

 IoTが過度な期待のピークから幻滅期へと移行する理由は、3つある。

  1. そもそもIoTのインパクトを正しく理解できていない
  2. 実現したくてもテクノロジの成熟度が十分ではない
  3. 実現したくても環境が十分整っていない

IoTへの取り組みは緩やかに進行中

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 ここで、論点の1つ目として、何のためにIoTに取り組むのかを考えてみよう。結論から言えば、デジタルビジネスが当たり前の社会の中で、継続的に生き延びるためである。

 国内企業のIoTに関する取り組みは、欧米と比べると緩やかである。おおむね1~2割の企業がIoTへの取り組みを開始しているという現状である。IoTへの取り組みに時間がかかる背景には、IoTが新しいビジネスの仕組みを作り出す仕掛けであるという状況がある。

 ガートナーが2017年2月に515社を対象に実施したアンケート調査では、2015年2月から2016年2月にかけての1年間で、「企画部門で取りまとめが始まった」とした企業は約15%から約20%に、「IoTの専門部署やグループができた」とした企業は、約10%から15%弱に微増した。

 IoTへの取り組みについて不安に感じることについての調査では、1位が「自社の経営層はトレンドに乗り遅れている」で約50%を占めた。2位の「やるべきとは思うが社内に推進できる人材がいない」と、3位の「自社ビジネスへの効果が見えない」が、ともに40%を超えている。

従来のITは社内向き、IoTは社外にも目を向ける

 こうした中で、IoTに正しく取り組むための7カ条の第1条は、「顧客と自社の未来を描くことから始め、ビジネスの競争環境の変化に備えよ」である。IoTは、デジタル時代を支える重要なテクノロジであり、既存のビジネスの改善や最適化を狙うツールではないことを心得なければならない。

 7カ条の第2条は、「IoTの導入による期待すべき効果は、新しい競争環境の確立とそこでの競争優位の獲得であると理解せよ」である。デジタルビジネスは新たな競争であり、IoTはそこで優位に立つためのテクノロジである。ここを理解しなければならない。

 IoTのインパクトは、単にモノがつながってリモートから可視化できるというだけではない。新しいビジネスが可能になるという点が重要である。IoTの実現には、情報システムのスコープ(視野)の拡張を伴う。対象ユーザーとテクノロジがともに拡大することを理解しなければならない。

 従来の情報システムは、社内の従業員を向いていた。これからの情報システムは、顧客やパートナーなど社外のユーザーにも向く。利用するテクノロジも、モバイル、クラウド、IoT、人工知能(AI)などへと広がる。

【次ページ】IoT事例の多くはIoTと呼ばなくてもいいものばかり
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